ギターの弦を弾いた直後に親指を弦に当て、低音をミュートすることで、高い音の成分だけを鳴らすテクニックを「ピッキングハーモニクス」と言います。
ピッキングハーモニクスは、ギュイーンとした効果音のようなサウンドが特徴で、ヘヴィメタルなど激しい音楽を中心に用いられます。
たとえばBABYMETALの紅月は、開始から41秒のバンドサウンドの中でピッキングハーモニクスを使用した効果的な演奏を聴くことができます。
ピッキングハーモニクスをマスターすれば、ギターの表現力を広げることができ、演奏の幅も広がります。ギターの上達にもつながるテクニックと言えるでしょう。
ただし、ミスをすると目立ちやすく、きれいに演奏するためにはそれなりの練習が必要です。最初は弾き方を理解して、動きのコツをつかむところから練習してみましょう。
この記事では、ピッキングハーモニクスの練習方法と練習のコツを紹介します。
この記事のポイント
ピッキングハーモニクスの練習フレーズ
開放弦とピッキングハーモニクスを組み合わせたフレーズから練習していきましょう。ピッキングハーモニクスは丸で囲われていたりPHと表記されることがほとんどです。
ピッキングハーモニクスを弾くときは、ピッキングした直後に親指の側面で弦を押さえて高音だけを鳴らします。弦を強く押さえるとミュートされすぎてしまい、反対に弱く押さえすぎるとピッキングハーモニクスの音が聴こえなくなります。
このように繊細な力加減が求められるので、何度も練習をしてコツをつかみましょう。細い弦だと親指を当てづらいので、最初は5~6弦を中心とした練習がおすすめです。
ピッキングハーモニクスを練習するコツ
ピッキングハーモニクスは、ギター演奏の表現力を大きく広げてくれるテクニックですが、演奏には繊細な力加減が求められます。ここではピッキングハーモニクスの練習のコツを紹介します。
ピックを深めに持って練習する
ピッキングハーモニクスは、ピッキングした後にすぐ親指の側面を当てて演奏するため、深めにピックを持つと弦に親指を当てやすくなります。ピックを持つときは、親指の先端から4mm程度ピックが出るように意識すると演奏しやすいでしょう。
また、ピックの角度もピッキングハーモニクスを練習するうえで重要なポイントです。演奏するときは、順アングルになるように構えると親指の側面が当たって音を鳴らしやすいでしょう。
歪ませた音で練習する
ピッキングハーモニクスのサウンドは生音では鳴りにくいため、アンプにつなげて練習する方法がおすすめです。
また、アンプを通してもクリーントーンだとハーモニクスが鳴っているのか気づきにくい場合もあります。そのため、アンプやエフェクターで音を歪ませてから練習してみましょう。
ピッキングハーモニクスはヘヴィメタルを中心に使用されているテクニックなので、多少強めに歪ませても大丈夫です。慣れてきたら歪みを弱くしていくときれいに鳴らせるように練習できます。
ポジションやピッキングする位置を調整する
フレットのポジションごとにピッキングする位置を微調整することで、ハーモニクスが鳴らしやすくなります。ストラトタイプのギターであれば、センターとリアピックアップの間をピッキングするイメージです。
特に高いフレットでピッキングハーモニクスを弾く場合は、ピッキングの位置もブリッジ側にするとハーモニクス音が鳴らしやすくなります。
フレットによって鳴りやすいポジションが異なるため、練習しながら試してみましょう。
リアピックアップで練習する
ピッキングハーモニクスの音はフロントやセンターピックアップよりもリアピックアップのほうがハーモニクス音を拾いやすくなります。ほかのピックアップでも演奏はできますが、高音が鳴りにくく音量も出にくくなります。
同じ弾き方でもピックアップの選択によって大きくサウンドが異なるため、ピッキングハーモニクスを練習するときはリアピックアップを選択するように心がけましょう。
ピッキングハーモニクスに関するよくある質問
ここでは、ピッキングハーモニクスに関するよくある質問について解説します。エレキギター以外の演奏方法や音作りのコツといった内容をまとめました。
アコギやベースのピッキングハーモニクスの演奏方法は?
アコギやベースでもピッキングハーモニクスの演奏自体は可能です。演奏方法や練習のやり方は同じなので、今回紹介した内容を参考にしてみてください。
一方、ピッキングハーモニクスは基本的に音を歪ませる演奏方法なので、アコギやベースできれいにならすにはそれなりの練習が必要です。この記事で紹介した練習のコツを参考にチャレンジしてみましょう。
ピッキングハーモニクスの音作りのコツは?
ピッキングハーモニクスは基本的に歪ませて演奏するため、歪みをかけて倍音を強調させるサウンドがポイントです。特にヘヴィメタルやハードロックで演奏するなら、多少歪みが強くても問題ないでしょう。
音作りをする際は、アンプやエフェクターで歪みの量を調整しながら自分好みのサウンドを見つけてみましょう。
音が小さい時の対処法は?
ピッキングして親指を当てる際にすぐに指を離さないと、ミュートのしすぎで音が小さくなってしまうことがあります。
また、前述の通りリアピックアップのほうが倍音を拾いやすいため、ほかのピックアップよりも大音量で演奏できるでしょう。
ほかにも、エフェクターやアンプの設定を見直して歪みを強くすると倍音が得られて音も大きくなります。
まとめ
ギターのピッキングハーモニクスの練習方法やコツを紹介しました。ピッキングハーモニクスをマスターすることで、ギターの演奏表現力を大きく広げてくれるでしょう。
最初はなかなかうまく演奏できないかもしれませんが、コツをつかめば演奏の幅も広がり、ギターの楽しみ方がさらに広がります。
ピッキングハーモニクスに挑戦してみたい方は、今回紹介した内容を参考に練習を始めてみて下さい。