1954年に誕生したフェンダーのストラトキャスター。ジミ・ヘンドリックスやエリック・クラプトンなど、多くのレジェンドギタリストが愛用したことで知られています。時代に合わせて進化を続けるストラトキャスターですが、こちらでは70年代のストラトキャスターにフォーカスしましょう。
この記事のポイント
70年代ストラトキャスターとは?
ロックギターのアイコンとして知られるストラトキャスターですが、70年代モデルは特に明確な特徴があります。こちらではその特徴だけでなく、70年代のストラトキャスターを愛用したことで知られるギタリストもご紹介しましょう。
70年代ストラトキャスターの特徴
70年代に突入したことでストラトキャスターのスペックは大きく変化しました。このスペックの変化はサウンドにも大きな影響を与えています。こちらではスペックの解説のほかに、70年代ストラトキャスターのイメージについてもご紹介しましょう。
ラージヘッド
70年代ストラトキャスターを象徴するデザインといえばラージヘッドでしょう。これまでのヘッドと比較してひと回り大きいデザインとなっています。ヘッドに目が行くデザインですので、フェンダーのロゴを注目してもらう意味があったようです。
これまでのヘッドはスモールヘッドと呼ばれており、現在製造されているストラトキャスターの大半はスモールヘッドです。現行品でラージヘッドは少ないのですが、そのインパクトは強烈。楽器店に陳列されているストラトキャスターの中でも、ラージヘッドはひときわ目立ちます。
またヘッドに重量を持たせることでサウンドのローミッドが強調され、ラージヘッドのストラトキャスターはパワフルな傾向にあります。
ラージヘッドを“デカヘッド”と呼ぶ年配のギタリストもいますね。海外では“BIG HEAD”と呼ばれることもあるそうです
ロゴの変化
ロゴを目立たせるためにラージヘッドが採用されましたが、そのロゴにも変化が見られます。フェンダーのロゴは大きく太くなり、文字はゴールドで縁取りがされるようになりました。そしてSTRATOCASTERのロゴも大きなゴシック体になっています。
ラージヘッドとのバランスを考えて、これだけ大きいロゴデザインになったのでしょう
3点止めネックジョイント
これまでのジョイントプレートは4点止めでしたが、70年代になったことでジョイントプレートが3点止めに変更されました。この理由は諸説ありますが、コストカットが最大の理由と言われています。
マイクロティルト
70年代のストラトキャスターにはマイクロティルトと呼ばれる機構があります。これはジョイントプレートの穴からイモネジを回し、ネックの角度を調整するものです。本来であればシムを挟んで調整をしていましたが、マイクロティルトを使うことで調整がしやすくなりました。
マイクロティルトは非常にシビアなので、調整が必要な場合はプロのリペアマンに依頼しましょう
ボディ材
70年代に入ってもしばらくはボディ材にアルダーが仕様されていましたが、74、75年ごろからアッシュも使われるようになりました。 アッシュは立ち上がりの早いブライトなサウンドが特徴でしたが、アルダーは重量のある木材でガツンとしたパワフルなサウンドが特徴です。
浅いコンターとエルボー加工
ストラトキャスターはギタリストの身体にフィットさせるため、コンターやエルボーの加工がされています。これは70年代のストラトキャスターも同様の加工ですが、以前と比較して加工が浅くなりました。
これによって弾き心地に変化しただけでなく、重量がアップしたことでより太いトーンになっています。
かつては不人気だった
いつの時代もストラトキャスターは人気のギターですが、70年代モデルは不人気というイメージがありました。現在は再評価されている70年代のストラトキャスターですが、不人気だった理由はどこなのでしょうか。こちらで解説いたしましょう。
CBSへのフェンダー売却
ストラトキャスターやテレキャスターだけでなく、アンプやエレキベースでもロックシーンをリードしたフェンダー。しかし1965年になると創業者のレオ・フェンダーは健康面や経営方針の違いなどの理由で、アメリカの放送局であるCBSにフェンダーを売却したのです。そのためこの時代のフェンダーはCBSフェンダーとも呼ばれています。
レオ・フェンダーが去っただけでなく、売却先のCBSは放送局。これによって「フェンダーは魂を失ってしまった」と考えるギタリストは少なくありませんでした。
いつの時代もギタリストは精神性を求めますからね
コストカットのイメージ
CBS時代のフェンダーは何よりも利益を追求していたので、3点止めジョイントプレートなどコストカットが行われていました。これによって大量生産が可能になりましたが、同時に品質低下のイメージを与えてしまったのです。
日本製ギターの台頭
さらに日本製のギターも関係しています。古くから日本の楽器メーカーはストラトキャスターのコピーモデルを製造していましたが、70年代後半になるとその品質が認められるようになりました。本物のフェンダーより、安価で高品質な日本製を選ぶギタリストも多かったのです。
この日本の技術が後のフェンダー・ジャパンです。初めてのギターがフェンダー・ジャパンだった方は多いでしょう。僕もそのひとりです
再評価される70年代のストラトキャスター
CBSに売却されたことでマイナスイメージがありますが、それはあくまでイメージに過ぎません。現在は70年代のストラトキャスターが再評価され、ヴィンテージギターとして認識されています。
何より70年代のストラトキャスターはこれまでにないパワフルなローミッドが魅力。このサウンドは現在のロックシーンでも通用するものです。
70年代ストラトキャスターを使うギタリスト
長い歴史を持つストラトキャスターですが、70年代モデルはとりわけ特徴的。この70年代ストラトキャスターに魅了されたギタリストは少なくありません。こちらでは70年代のストラトキャスターがトレードマークになっている、イングヴェイ・マルムスティーンとリッチー・ブラックモアをご紹介しましょう。
イングヴェイ・マルムスティーン
常識を覆す速弾きとネオクラシカルなフレーズで知られるイングヴェイ・マルムスティーン。デビューから一貫してストラトキャスターにこだわったギタリストで、現代のギターキッズにも大きな影響を与えています。70年代ストラトキャスターを語る上で外すことのできないギタリストですので、こちらでご紹介しましょう。
ダック
イングヴェイ・マルムスティーンのトレードマークといえば、1971年製のストラトキャスターでしょう。ヘッドにドナルド・ダックのステッカーが貼られているため、ダックと呼ばれています。イングヴェイといえばこのダックをイメージする方も多いことでしょう。
ブラスナット、4点止めに変更されたジョイントプレートなどの特徴がありますが、最大の特徴はスキャロップ指板でしょう。これは指板が深く削る加工で、これによって触れるような感覚でプレイができます。
さらにジム・ダンロップのジャンボフレットに交換されているので、スキャロップ指板がより深く感じられるでしょう。
そしてボディの表面には「PLAY LOUD!」のステッカー、さらに裏面にはフェラーリのステッカーが貼られています。2008年にはダックを完全に再現したストラトキャスターが、世界限定100本で販売されました。
フェンダー・ジャパンのイングヴェイ・モデルには、おまけでフェラーリのステッカーが付いていましたねw
プレイスタイル
イングヴェイのプレイスタイルといえば驚異的な速弾きでしょう。これまでもリッチー・ブラックモア、Ten Years Afterのアルヴィン・リー、アル・ディ・メオラなど、速弾きを得意とするギタリストは数多くいました。しかしイングヴェイの速さはこれらを遥かに超えていたのです。
イングヴェイが高校生のころのデモテープがブートレッグとして出回っていますが、そのころからすでにテクニックは完成されています。今でこそネット上にはイングヴェイを完コピする小学生ギタリストもいますが、それはすでにお手本がある状態(それでも十分すごいんですが)。しかしイングヴェイは世界でまだ誰もやっていない状態から、そのスタイルにたどり着いたのです。
ストラトのイメージが強いイングヴェイですが、過去にはアリアプロIIからシグネイチャーモデルを出していました。なんとVシェイプに2シングルという異色ギター。一度だけ楽器店で見たことがあります!
リッチー・ブラックモア
DEEP PURPLEのギタリストとして活躍した、リッチー・ブラックモアも70年代のストラトキャスターを愛用していました。イングヴェイにも大きな影響を与え、世界中のギタリストからリスペクトされています。こちらではリッチーの魅力を解説しましょう。
プレイスタイル
ビッグ・ジム・サリヴァンからギターを学び、その後はスタジオミュージシャンとして活躍したリッチー・ブラックモア。1968年にDEEP PURPLEを結成します。初期はギブソンのES335を仕様していましたが、1970年ごろからラージヘッドのストラトキャスターを使うようになりました。
DEEP PURPLEは強烈なドライブ感とヘヴィさを持ったハードロックですが、魅力はそれらだけではありません。それまでのロックギタリストはブルースをルーツにしたペンタトニックが中心でしたが、リッチーはハーモニック・マイナーやモードを積極的に取り入れていたのです。
このリッチーのアプローチはイングヴェイに受け継がれ、現在のメタルギターの基本となりました。またリッチーもスキャロップ指板を使用しています。
リッチーのギターの師匠であるビッグ・ジム・サリヴァンですが、実はジミー・ペイジの師匠でもあります
70年代ストラトキャスターの感想
一般的なストラトキャスターのイメージは50年代や60年代のモデルでしょうが、僕にとって70年代なんですよ。イングヴェイとリッチー大好きですから。鋭さの中に太い芯がビシッと通ったサウンドがあります。
もちろんクリーントーンやクランチも良いサウンドなんですが、個人的に70年代のストラトキャスターはしっかりと歪ませて欲しいですね。パワフルなローミッドはレス・ポールとひと味違う魅力です。良い意味でストラトキャスターのイメージを払拭してくれますよ。
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