エレキギターのタッピング奏法は、指で弦を叩いて(タップして)音を発生させる演奏方法で、「ライトハンド奏法」とも呼ばれています。音が出る仕組みとしては、ハンマリングやプリングと共通しています。
1970年代以前までは主にジャズで使用されていたテクニックでしたが、「ヴァン・へイレン」のギタリスト「エドワード・ヴァン・ヘイレン」が積極的に演奏に取り入れたことで、世界中に広まりました。この記事では、ギター初心者の方に向けてタッピングの種類や練習方法を紹介します。
この記事のポイント
ギターのタッピングの種類
ギターのタッピングには、片手で行う「片手タッピング」と両手で行う「両手タッピング」の2種類があります。それぞれの特徴や演奏方法について詳しく見ていきましょう。
片手タッピング
片手タッピングは、ハンマリングとプリングによって2つ以上の音をレガートのように演奏する方法です。ピッキングと組み合わせて速弾きに用いられることもあります。
片手タッピングは、片手で複数の音を出すことができるため、単音のフレーズに変化をつける際や速いフレーズを演奏したいときに効果的です。ただし、音量のコントロールが難しいという点に注意が必要です。
両手タッピング
両手タッピングは、ハンマリングとプリングを両手で演奏する方法です。片手よりも演奏できる音域が広がり音数も増やせるので、ギターソロやメロディアスな演奏に適しています。
両手タッピングを行う際は、左右の手の連携が重要になります。タイミングがずれてしまうと、音がきれいに出ないことがあるので、ゆっくりしたテンポから練習を始めることをおすすめします。
ギターのタッピングの練習フレーズ
タッピングを練習する際は、ピックを持つ手の人差し指か中指で弦をタップして演奏します。中指のタッピングはピックを持ち替えやすいですが、初心者の方は人差し指でタッピングする方法が弾きやすくておすすめです。
ここでは片手タッピングと両手タッピングそれぞれの練習方法を紹介します。
片手タッピングの練習フレーズ
片手タッピングの練習では、5フレットを押さえたまま反対の手で12フレットをタップするフレーズがおすすめです。一定の音量とリズムがキープできるように意識して弾くことがポイントです。
また、左手の人差し指や右手の付け根でミュートするとノイズが出にくくなります。ミュートを意識することで、クリーンな音で演奏できるでしょう。
両手タッピングの練習フレーズ
両手タッピングの基本となるフレーズを練習しましょう。左手が加わることで音量やタイミングが不安定になりやすいので注意が必要です。
力んでしまうと指の移動がしづらくなり、ノイズが発生する原因にもなります。脱力した状態で弾けるまで練習を続けてみてください。両手のバランスを保ちながら、正確なタイミングで音を出すことを心がけましょう。
ギターのタッピングを練習するコツ
ここからは、タッピングを練習する際のコツについて解説します。メトロノームの使用や左手の強化など、効果的な練習方法を身につけることで、上達のスピードが格段に上がるでしょう。
必ずメトロノームを使う
タッピングは普段使い慣れていない左手も使って音を出すため、最初はリズムが不安定になりやすいかもしれません。速弾きをするときは、ただ速く弾くのではなく、正確なリズムで弾けるようにメトロノームを使って一音ずつ確実に弾けるように練習することが大切です。
タッピングは基本的に三連符のフレーズが続くので、三連符のリズムを意識できるスピードから練習しましょう。ゆっくりとしたテンポから始めて、徐々にスピードを上げていくことがコツです。
左手を中心に練習する
タッピングを安定して演奏するためには左手の練習も大切です。左手の基礎を固めるためには確実に弾けるテンポから練習すると効果的でしょう。
動きに慣れてきたら徐々にテンポを上げるようにすれば、速いフレーズでも確実に弾けるテクニックが身につきます。左手の動きに意識を向けながら、根気強く練習を続けることが上達への近道です。
ミュートも意識する
タッピングは一音ごとの粒立ちが重視される奏法なので、ノイズが出ると目立ってしまいます。特にディストーションをかけた状態のタッピングは、小さなノイズであっても増幅されるため確実なミュートが大切です。
ミュートをする際は、左手の人差し指の先や右手の付け根全体で弦を覆うと余分な音が出にくくなります。ただし、弦を強く押さえつけるとノイズの原因になるので、軽く触れている状態を心がけましょう。
また、爪を短くしておくと弦に当たったときのノイズを防ぎ、タッピングもしやすくなります。
まとめ
エレキギターのタッピング奏法は、片手や両手を使って音を出す演奏方法です。片手タッピングは速弾きに、両手タッピングはギターソロやメロディアスな演奏に適しています。
練習する際はメトロノームを使って正確なリズムを身につけられるよう、左手も練習しましょう。また、ミュートを意識することでノイズのないクリーンな音を出すことができます。
タッピング奏法は、ギターの表現力を大きく広げてくれる魅力的なテクニックです。演奏してみたい人は基礎をしっかりと身につけて自分らしい演奏を目指してみてください。