ギターの種類は主にエレキギター、アコースティックギター、クラシックギターの3つに分けることができます。
また、同じエレキギターであってもソリッドボディとホロウボディに分けられ、それぞれ形やサウンドが異なります。
ギターに興味がある人にとって、それぞれのギターの種類や特徴が分かれば、自分の欲しいギターが見つけやすくなるでしょう。
この記事ではギターの種類と違い、特徴について紹介します。
この記事のポイント
ギターの種類(エレキギター編)
エレキギターは金属の弦を使用し、弦の振動をピックアップで拾い、アンプから音を出す楽器です。
その特徴として、弦のテンションがアコースティックギターに比べると柔らく、初心者でも抑えやすい点があげられます。さらに、エフェクターによって音を変えることができるため、ポップスやロックを中心にさまざまなジャンルで広く使用されていることも特徴です。
ギターの種類は大きく分けてソリッドボディギターとホロウボディギターの2種類があります。
それぞれの種類についてみていきましょう。
ソリッドボディギター |
ホロウボディギター |
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ボディの厚さ |
薄め |
厚めで空洞がある |
音質 |
シャープで引き締まった音 |
弦の鳴りが豊かで鳴りも大きい |
おすすめのジャンル |
ロック、ポップスなど |
ジャズ、ブルースなど |
代表的なモデル |
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ソリッドボディギター
ソリッドボディギターは、空洞のないボディ構造をもったエレキギターの種類で、エレキギターといえば、ほとんどの場合はこのタイプのギターを指します。
ボディに空洞がないため、シャープでクリアな音が特徴で、特にハウリングが起きにくいため、ロックのような大音量での演奏に向いています。
ソリッドボディギターは発売当時、各ギターメーカーが独自の形状のギターを出していましたが、現在では同じ形を持つギターをエレキギターの種類として一般的に扱うことがほとんどです。
ここではソリッドボディギターの種類を紹介します。
テレキャスタータイプ
テレキャスタータイプは、大手ギターメーカーFender社のテレキャスターの形をベースとした楽器です。
このタイプはエレキギターの中でも特に歴史のある構造となっており、数あるエレキギターの中でも代表的なモデルの一つです。
また、歯切れの良いサウンドが特徴で、ロックミュージシャンを中心に広く愛用されています。
ストラトキャスタータイプ
ストラトキャスタータイプは、テレキャスターと同じくFender社を代表するギターです。
そのため、エレキギターと聞くと思い浮かべる人も多いかもしれません。
ストラトキャスタータイプは3つのピックアップを搭載しており、セレクターを操作することで5通りの音作りが可能です。
この特徴により、ミュージシャンはさまざまな音色を表現できます。さらに、トレモロアームと呼ばれる音程を変化させる装置が搭載されていることも特徴です。
ストラトキャスタータイプのギターはロックだけでなく、ブルースなどさまざまなジャンルで使用され、その柔軟性と表現力がミュージシャンたちに愛されています。
レスポールタイプ
Gibson社の代表的なモデルをベースとしたレスポールタイプは、ネックがボディに接着された構造を持つギターです。
また、ハムバッカーと呼ばれる磁石とコイルが2対になっているピックアップを採用しており、これによりストラトキャスタータイプよりもパワーのある音が特徴です。
また、エフェクターで音を深くゆがませてもノイズが出にくいため、ハードロックやメタルなどのジャンルで広く使用されています。
SGタイプ
SGタイプは、レスポールと同じくGibson社が開発したモデルで、レスポールの後継機として開発された背景があります。
SGタイプは軽量でありながらもハイポジションでも弾きやすいなど、レスポールと比べて、いくつか改良が施されていることも特徴です。
また中音域が強調された独特なサウンドで、左右対称の本体も軽量で扱いやすいため、派手なステージパフォーマンスをするアーティストを中心に使用者の多いモデルとなっています。
その他、変形ギタータイプ
ソリッドギターにはさまざまなボディの形状のモデルがラインナップされており、中でも変形ギタータイプは、独自のデザインや特殊な機能を持っています。
たとえば、フライングVはGibson社が開発したモデルで、Vの字を逆さにしたような特徴的な見た目を持ったギターです。
この独特な形状は、演奏者にとって個性的で派手なステージパフォーマンスを可能にし、ハードロックやメタルなどのジャンルを中心に愛用されています。
ほかにもヘッド部分の無いヘッドレスモデルやネックが2本あるダブルネックギターなど、通常の形状とは異なる特殊な形状や機能を持ったギターも存在します。
ホロウボディギター
ホロウボディギターは、その名の通りボディの中身がくり抜かれており、空洞になっていることが特徴のギターです。
この構造により、生音がエレキギターよりも大きく、アンプに接続するとエレキギターのような音を奏でつつ、アコースティックギターのように細かな表現も可能です。
ホロウボディギターはその特有のサウンドから、ジャズやブルースなどのジャンルで広く愛用されています。
ホロウボディギターの種類は大きく「セミアコ」と「フルアコ」の2つに分かれます。
セミアコースティックギター
セミアコースティックギターは、通称"セミアコ"とも呼ばれ、ボディの一部がくり抜かれたボディを持つギターです。
また、ボディの中にはブロック状の材料が配置されているため、アコースティックギターのような音色を持ちながら、ソリッドボディギターに近い弾き心地が特徴です。
セミアコはエレキギターとアコースティックギターの中間に位置し、そのハイブリッドな特性からジャズからポップスまで幅広いジャンルで使用されています。
フルアコースティックギター
フルアコースティックギターは、通称"フルアコ"とも呼ばれ、ボディの内部が完全に空洞となっている構造をもつ楽器。
エレキギターでありながら、アコースティックギターのような全体的な共鳴や温かみのある音色が特徴で、いわゆる甘いサウンドが魅力とされています。
フルアコは独自の鳴りと繊細な表現が可能なため、主にジャズで使用されることが一般的です。
一方、ボディの中が完全に空洞となっているため、高い音量で演奏するとハウリングが起こりやすく、大音量の状況での使用には向かないことがあります。
この特性から、スタジオや比較的静かなライブ環境でのパフォーマンスに向いています。
ギターの種類(アコースティックギター編)
アコースティックギターは、弦の振動をボディの内部で反響させることで音を出す楽器です。
フォークギターとも呼ばれ、クラシックギターとは異なり、金属製の弦を使用します。
また、アコースティックギターは、エレキギターと違ってアンプを用意する必要なく、単体で手軽に演奏が可能です。
そのため、アンプを使用しないアコースティックライブや弾き語りなどさまざまなシーンで活用されています。
また、アコースティックギターの種類は、主にギターのサイズによって異なり、一般的なサイズには「ドレッドノート」、「コンサート」、「アウディトリアム」、「ジャンボ」などがあります。
ここではそれぞれのサイズの種類と特徴を紹介します。
ボディサイズ |
小さめ |
大きめ |
音量 |
ボディの鳴りが少なく音量も抑えめ |
ボディが大きい分、音量も大きめ |
音質 |
繊細な音で、細かな表現や指弾きに向いている |
パワフルなサウンドでピックを使ったコード弾きにもおすすめ |
代表的なモデル |
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ドレッドノートモデル
一般的なアコースティックギターの中でも、初心者が最初に選ぶ際におすすめされることが多いのがドレッドノートモデルです。
その理由は、一般的なアコースティックギターの多くがこのスタイルに該当し、初心者にとって手頃でバランスのとれたサウンドが楽しめるためです。
ドレッドノートモデルは、アコースティックギターの中でも大型のモデルであり、その名前はイギリスの戦艦"Dreadnought"に由来しています。
このモデルは20世紀初頭にMartin Guitarが開発し、その後多くのギターメーカーによって採用され、一般的なスタイルとなりました。
ドレッドノートは大きなボディサイズを持ち、特に低音の響きが豊かで力強いのが特徴です。
そのため、演奏者は十分な音量を期待でき、ピック弾きだけでなく指弾きにも適していることから、フォークやカントリー、ブルース、ロックなど幅広く使用されています。
ジャンボモデル
ジャンボモデルは、Gibson社のアコースティックギターで採用されているモデルで、ドレッドノートモデルよりもさらに大型のボディが特徴です。
このギターは、その大きなサイズにより、大きな音量で鳴らすことができ、コードストロークやアコースティックギターにおけるリズム演奏にも特に向いています。
また、ジャンボモデルには、よりサイズの大きいバージョンである「スーパージャンボ」も存在し、こちらはさらに迫力のあるサウンドを提供します。
オーケストラモデル
オーケストラモデルは、OMタイプとも呼ばれ、ドレッドノートモデルよりもボディやピックガードが小さめなことが特徴です。
一方で、スケールはドレッドノートモデルと同じ長さを有しています。
この組み合わせにより、コンパクトなボディがもたらす利点を活かしつつ、スケールの長さによって音程の安定性が確保されています。
また、ボディが小さいため、オーケストラモデルは非常にレスポンスが早く、指弾きにも向いていることも特徴です。
そのためクラシックからジャズまで幅広いジャンルで愛用されています。
オーシリーズ
オーシリーズは、トリプルオー(000)、ダブルオー(00)、シングルオー(0)の3種類のサイズを指し、000⇒00⇒0の順番でサイズが小さくなっています。
一般的に、000でもドレッドノートモデルよりもサイズが小さく、スケールも短いため、手が小さな方や初心者でも弾きやすいでしょう。
ただし、ボディのサイズが小さいほど音量も小さくなります。
そのため、オーシリーズで音量が物足りない場合は、一回り大きいドレッドノートモデルを選ぶことも方法です。
エレクトリック・アコースティックギター
エレクトリック・アコースティックギター、通称エレアコは、通常のアコースティックギターにマイクやピックアップを搭載したモデルを指します。
これにより、アンプやPAシステムに接続することができ、大規模なステージやバンドで演奏する際に生音が埋もれず、より広いステージに適応できます。
また、エレキギターのようなエフェクトも使用可能であり、機種によっては内蔵されたエフェクターを利用することもできます。リバーブやコーラスなどのエフェクトをかけることで、より多彩な音響表現が可能です。
エレクトリック・アコースティックギターは、アコースティックサウンドをそのままに、さまざまな演奏環境で利用できるため、スタジオ録音からライブパフォーマンスまで幅広いシーンで愛用されています。
ギターの種類(クラシックギター編)
クラシックギターはアコースティックギターの一種ですが、アコースティックギターよりもサイズが小さく、スチール弦ではなく、やわらかな音色を生み出すためにナイロン弦が使用されます。
また、クラシックギターのサブカテゴリーとして、フラメンコギターもあります。
フラメンコギターは、フラメンコ音楽のために特に設計され、パーカッシブな奏法やリズムを強調するための構造が施された楽器です。
ここではクラシックギターの種類を紹介します。
クラシックギター |
フラメンコギター |
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ボディの厚さ |
厚め |
薄め |
弦の高さ |
高め |
低め |
材質 |
シダー材と呼ばれる木材を使用し、丸くてやわらかい音が出しやすい |
シープレス材と呼ばれる軽めの木材が使用され、音の抜けが良い |
音質 |
響きが豊かで音の余韻が長め |
音の立ち上がりが早く余韻も短い |
クラシックギター
クラシックギターは、その名の通り主にクラシック音楽などの演奏に使用されるギターで、その独特な音色からジャズやボサノバなどの異なるジャンルでも愛用されています。
また、「ガットギター」とも呼ばれ、ナイロン弦が使用されています。これにより、アコースティックギターよりもやわらかく温かい音色が特徴的です。
ナイロン弦は、スチール弦と比べて指での押さえや弾きがやわらかいため、演奏者は繊細な表現や旋律を奏でることができます。
クラシックギターはその豊かな音色と奥深い表現力から、クラシック音楽の演奏者だけでなく、ジャズやボサノバなどでも使用されることも特徴です。
フラメンコギター
フラメンコギターは、主にフラメンコ音楽の演奏に用いられるギターで、クラシックギターと同じくナイロン弦が使用される楽器です。
また、ボディにはシープレス材などの軽い木材が使われ、板厚も薄く設計されています。
この構造により、ボディが非常に軽量で振動しやすくなり、フラメンコ独特の明快で切れのある音を引き立てています。
また、ボディ自体の厚みも薄くなっており、演奏者がギターを叩く「タッピング」といったパーカッシブな演奏技法にも適していることも特徴です。
ほかにもフラメンコギターの弦高はクラシックギターよりも低く設定されており、弦を素早く押さえてリズミカルな演奏にも対応しています。
その他のクラシックギター
クラシックギターやフラメンコギター以外にもいくつか種類があります。
ここではその他の種類として、エレクトリックガットギターとアルトギターバリトンギターについて紹介します。
エレクトリックガットギター
エレクトリックガットギターは、ピックアップが搭載されたクラシックギターで、「エレガット」とも呼ばれます。
通常のクラシックギターとは異なり、エレクトリックガットギターにはピックアップが組み込まれています。
これにより、アンプやエフェクターを介して音を増幅でき、より大きな音量で演奏することが可能です。
ただし、エレクトリックガットギターにはアンプでの演奏を前提としたモデルもあるため、生音での演奏を重視する場合は、通常のクラシックギターを選ぶことも方法です。
アルトギター
アルトギターは、クラシックギターよりも一回りほど小さなサイズを持つ楽器であり、ギター同士のアンサンブルや合奏などで頻繁に使用されることがあります。
通常のクラシックギターに比べて音域が高く、他の楽器との調和を図る際に役立ちます。
また、アルトギターは、通常のクラシックギターとは異なるチューニングが採用されていることが特徴です。
そのため、演奏者がアルトギターを選ぶ際には、独自のチューニングに慣れる必要があります。
コントラバスギター
コントラバスギターは、クラシックギターと比較して一回りほど大きなサイズを持ち、アルトギターと同じく、合奏やアンサンブルで使用される楽器です。
その迫力ある低音域は、バンドやオーケストラでの演奏において、重要なリズムセクションを担当する役割を果たしています。
一方、コントラバスギターのチューニングは通常のクラシックギターとも異なることがあり、特殊なチューニングに慣れる必要があります。
そのため、初心者にとっては最初のギターとしてはおすすめしにくい面があります。
通常のクラシックギターで基本的な演奏技術や楽器の扱いを学んだ後に、コントラバスギターに挑戦するのが良いでしょう。
ギターの種類についてよくある質問
最後にギターの種類に関するよくある質問とその回答を紹介します。
初心者でも簡単に弾きやすいギターの種類は?
たとえば初心者がエレキギターを選ぶ際には、音作りの幅が広く、ハイフレットでも弦を押さえやすいギターが良いでしょう。
その中でも、ストラトキャスタータイプはシンプルな構造でありながら、歯切れのよいサウンドが特徴です。これにより、初心者でも音楽の幅広いジャンルで楽しむことができます。
また、初心者がアコースティックを選ぶのであれば、低い音から高い音までバランスよく鳴るドレッドノートタイプがおすすめです。
初心者がギターを選ぶポイントについては下記の記事でも紹介しているため、こちらも参考にしてみてください。
ギター初心者必見!失敗しないギター選び方とは?おすすめのギターについても紹介
ロックにはどんな種類のギターがおすすめ?
ロックでは大音量で演奏することが一般的であり、その際にハウリングがしにくいソリッドボディのエレキギターがおすすめです。このタイプのギターは共鳴胴がないため、大音量での演奏に向いており、エフェクターの効果も引き立ちます。
その中でも、ストラトキャスタータイプは、その音作りの幅広さからさまざまなロックの曲で扱いやすいギターです。
また、シングルコイルのピックアップが特徴で、クリアで歯切れのよいサウンドが得られます。特に、ブリッジのトレモロアームを使った表現もロックミュージックでは重宝されます。
ほかにもハムバッカーピックアップが搭載されたレスポールタイプギターは、ロックに適したパワフルで力強いサウンドが得られます。
特にハムバッカーのピックアップはノイズに強く、ハードロックやヘヴィメタルなど、強いゆがみが用いられるジャンルにもおすすめです。
有名なギターメーカーの種類は?
ギターメーカーは数多く存在し、その中でもいくつかのメーカーが特に有名です。以下はその中からいくつか代表的なギターメーカーを紹介します。
Fender(フェンダー)
Fenderはエレキギターの分野で非常に有名なメーカーで、特にソリッドボディのエレキギターの開発で知られています。
1950年代にテレキャスター、ストラトキャスターといった主流のモデルを生み出し、ロックやポップスの分野で多くのプレイヤーに愛用されています。
Gibson(ギブソン)
Gibsonはエレキギターとアコースティックギターの製造で長い歴史を持つメーカーで、1936年からエレキギターの販売を始めています。
特にレスポールやSGといったエレキギターは人気が高く、Fenderと並んで、知名度もあるメーカーです。
Martin(マーチン)
Martinはアコースティックギターの名門メーカーとして知られています。1822年に創業され、高品質で伝統的な製法に基づくアコースティックギターを製造しています。
アーティストやプロフェッショナル・ミュージシャンに愛用され、ウッドの選定やクラフトマンシップに優れた楽器が多く生み出されています。
その他のメーカー
ヤマハやアイバニーズなど、日本国内でも多くのギターメーカーが存在します。
これらのメーカーは、エントリーレベルからプロフェッショナル向けまで、幅広いラインナップを展開しているため、自分にあったギターを選びやすいでしょう。
まとめ
ギターの種類をエレキギター、アコースティックギター、クラシックギター別に紹介しました。
ギターによって形や音色、得意なジャンルなどが異なるため、気になるモデルがあれば、実際に試奏してみることも方法です。
今回紹介したギターはいずれも代表的なモデルばかりですので、これからギターを始めたいと考えているのであれば、記事の内容を参考に自分にあったギターを見つけてみてはいかがでしょうか。