ギター演奏の世界には、様々な奏法がありますが、その中でも独特な音色を生み出す技術の一つが「クリケット奏法」です。この奏法は、弦をピッキングした後にトレモロアームを軽くたたくことで、弦を振るわせて演奏するテクニックです。
その名前の由来は、生み出される音がクリケット(コオロギ)の鳴き声に似ているからとされています。
クリケット奏法は主に効果音的に用いられることが多く、ロックを中心に幅広いジャンルで活用されています。例えば、ギターの名手として知られるジェフ・ベックの楽曲「You Never Know」では、冒頭3分2秒あたりのギターソロでクリケット奏法を効果的に使用しており、その独特な音色を聴くことができます。
この記事では、クリケット奏法の基本的な練習方法と、上達するためのコツについて詳しく紹介していきます。
この記事のポイント
クリケット奏法の練習方法
クリケット奏法を習得するには、まずトレモロユニットの状態を確認することが重要です。この奏法はアームを細かく動かすことで演奏するため、トレモロユニットがいわゆる「ベタ付け」の状態だと演奏できません。
ストラトキャスタータイプのギターであれば、通常トレモロユニットが浮いている状態になっているはずですが、事前に確認しておくことをおすすめします。
トレモロユニットの状態が適切であることを確認したら、実際の練習に移りましょう。基本的な練習方法は、ピッキングした後にトレモロアームを叩いて音程を変化させることです。多くの楽譜では、クリケット奏法の箇所は「Cricket.」と記載されています。
練習の際は、8分音符と4分音符を組み合わせたシンプルなフレーズから始めるのが良いでしょう。重要なのは、拍がずれないようにていねいに練習することです。リズムが崩れてしまうと、クリケット奏法の効果が半減してしまうため、注意が必要です。
最初は遅いテンポから始め、徐々に速度を上げていくことで、より自然なクリケット奏法を身につけることができます。
クリケット奏法を練習するコツ
クリケット奏法をマスターするためには、単に練習を繰り返すだけでなく、効果的な練習方法を知ることが重要です。ここでは、クリケット奏法の上達を加速させるためのコツをいくつか紹介します。
メトロノームを使って練習する
クリケット奏法は、リズミカルな演奏が求められるテクニックではありませんが、拍がずれてしまうとカッコよく聴こえません。そのため、練習する際はメトロノームを使用しましょう。メトロノームを使うことで、拍の頭をそろえる技術を身につけることができます。
最初はゆっくりとしたテンポで練習し、指の動きや手首のスナップの感覚をつかむことが大切です。慣れてきたら徐々に速度を上げると効果的です。
基本的なアーミングの動きも練習する
クリケット奏法はアーミング奏法の一種なので、一通りのアーミング奏法を練習しておくと、応用としてクリケット奏法にチャレンジしやすくなります。
基本的なアーミングの動きを習得することで、クリケット奏法の習得がより円滑になるでしょう。アーミング奏法については、他の記事でも詳しく紹介していますので、そちらも参考にしてみてください。
ギターのアーミング奏法とは?アームの種類や使い方、練習方法を紹介
トレモロユニットのセッティングを見直す
練習しても音程が変化しにくい場合は、トレモロユニットのセッティングが最適でない可能性があります。
トレモロユニットが浮いている状態でも、アームの動作やチューニングによって弦の張力が変わると、ベタ付けになってしまうケースも少なくありません。
また、弦を張り替える際に太さが変わっていると、トレモロユニットの調整が必要になる場合もあります。クリケット奏法がうまくいかないのなら、練習方法と併せてセッティングも見直してみましょう。
適切なセッティングは、クリケット奏法の効果を最大限に引き出すために不可欠です。
まとめ
クリケット奏法は、ギター演奏に独特の表現力を加える魅力的なテクニックです。コオロギの鳴き声を思わせるその音色は、楽曲に豊かさを加えることができます。
この奏法を習得するためには、適切なトレモロユニットのセッティング、正確なリズム感、そして基本的なアーミング技術が重要です。メトロノームを使った練習や、段階的なテンポアップ、さらにはトレモロユニットの細かな調整など、様々な角度からアプローチすることで、より効果的に技術を向上させることができます。
クリケット奏法の習得はしたいなら、この記事で紹介した練習方法やコツを参考に、じっくりと取り組んでみてください。独特の音色を自在に操れるようになれば、ギターの表現の幅がより広がるでしょう。