吹奏楽を始めたい人にとって、どんな楽器にしようか悩む人は多いかもしれません。また、楽器によって難易度が違うため、なるべく簡単な楽器を選びたい人もいるでしょう。
楽器の難易度は押さえる数や音域によって変わり、リードやマウスピースの種類によっても吹きやすさが違います。
そのうえで口の形や体格、性格などによっても選び方が変わることもポイントです。
この記事ではこれから吹奏楽で楽器を始める人に向けて、キーやピストンの数、音域といった特徴別に楽器を比較し、比較的簡単な楽器をランキング形式で紹介します。
この記事のポイント
吹奏楽で簡単な楽器ランキング
順位 |
楽器名 |
キー、ピストンの数 |
音域 |
リード、マウスピースの種類 |
1位 |
ユーフォニアム |
3~4 |
2オクターブ半程度 |
マウスピース(中) |
2位 |
サックス |
23 |
2オクターブ半程度 |
シングルリード |
3位 |
チューバ |
3~4 |
3オクターブ程度 |
マウスピース(大) |
4位 |
トランペット |
3 |
2オクターブ半程度 |
マウスピース(小) |
5位 |
クラリネット |
16~19 |
4オクターブ程度 |
シングルリード |
6位 |
フルート |
8 |
3オクターブ程度 |
エアリード |
7位 |
トロンボーン |
無し(スライド) |
2オクターブ程度 |
マウスピース(中) |
8位 |
ファゴット |
29~33 |
3オクターブ程度 |
ダブルリード |
9位 |
オーボエ |
23~24 |
2オクターブ半程度 |
ダブルリード |
10位 |
ホルン |
3~4 |
4オクターブ程度 |
マウスピース(小) |
吹奏楽で主に使用される管楽器を中心に押さえる数や音域、リード、マウスピースの形状を基準にランキングを作成しました。
それぞれの楽器の順位とその理由についてみていきましょう。
1位:ユーフォニアム
ユーフォニアムは比較的歴史の新しい金管楽器で、初心者にとっても演奏のしやすい楽器です。特にマウスピースは適度な大きさで、過度な力が不要でコントロールもしやすいでしょう。
また、音程は3~4つのピストンで変えられるため、操作がしやすいことも特徴です。これらの理由から、ユーフォニアムは初心者にとって扱いやすい楽器として一位にランクインしています。
2位:サックス
サックスはフルートやクラリネットのように指で直接穴をふさがず、他の木管楽器に比べて演奏がしやすい特徴があります。
また、リコーダーと同様の運指なので、初心者にとって覚えやすいことも特徴です。
ただし、メロディーパートの多いサックスは、16分音符などの細かな動きが求められ、瞬発力や指の動きに慣れが必要です。
演奏しやすいとされる楽器ですが、曲によってはテクニックが求められるでしょう。
3位:チューバ
チューバは主に伴奏を担当する楽器で、音符の数が少なく、複雑な動きも求められにくい楽器です。
また、トランペットやホルンと比較してマウスピースが大きく、繊細な口の動きが不要なため、初心者でも比較的音は出しやすいでしょう。
しかし、太く長い管の構造からくる振動の安定性を保つためには、十分な肺活量が必要です。チューバは初心者にとっても扱いやすいものの、安定感ある演奏には肺活量の鍛錬が欠かせません。
4位:トランペット
トランペットはピストンの数が3つと、木管と比べて押さえる箇所が少なく、管の長さも金管の中では短いため、ストレートな音が出しやすい楽器です。
一方、マウスピースは小さめで、高音域を安定して演奏するためには繊細なコントロールが要求されます。
管の長いホルンなどに比べると、比較的容易に演奏できる特徴がありますが、高度な技術を磨くためには継続的な練習が必要になるでしょう。
5位:クラリネット
クラリネットはサックスと同じくシングルリード楽器で、木管の中では初心者でも音を出しやすい楽器といえます。
また小さな音のコントロールが容易で、楽器のサイズも大きくないため、初心者でも取り扱いがしやすいことも特徴です。
ただし、サックスに比べて空気の抵抗が強いため、十分な息量が必要です。また、広い音域を持ち、時にメロディーを担当することも多いため、細かな動きや表現力も要求されます。
6位:フルート
フルートはC管と呼ばれる最低音がドになる楽器で、ピアノと同じ楽譜で初心者でも読みやすいことが特徴です。
また、木管の中では押さえる箇所が少なく、運指も比較的覚えやすいこともあげられます。しかし、フルートはエアリードを採用しているため、口で楽器を固定できず、安定した演奏には楽器の角度や下唇のコントロールが必要です。
ほかにも直接楽器に息を吹き込めないため、木管楽器の中でも特に肺活量が要求されます。
7位:トロンボーン
トロンボーンはユーフォニアムと同じマウスピースを共有し、初心者でも比較的音が出しやすい楽器です。
しかし、音程の調整はピストンではなくスライドで行われるため、正確な音程を保つには演奏者の音感が求められるでしょう。
また、管の長さが長いため、安定した音量で演奏するには、トランペットなどと比較して肺活量が必要です。
ほかにも音を出しながらスライドを動かし続けるグリッサンドなど、トロンボーンならではの演奏も求められるでしょう。
8位:ファゴット
ファゴットは管楽器のなかでもキーの数が多く、運指が複雑という特徴があります。
特に左手の親指は約9つのキーを操作するため、初心者にとっては慣れが必要です。
さらに、ダブルリードと呼ばれる2枚のリードを使用し、繊細な口のコントロールが求められ、安定した音を出すことが難しいとされています。
これらの特性から、演奏技術と熟練が求められる難易度の高い楽器とされています。
9位:ホルン
ホルンは極めて長い管を持つため、安定した演奏に肺活量が求められる楽器です。
また、マウスピースが小さいため、微細な口の動きが求められます。
さらに、ベルに手を置く位置によって音色が変化するため、特に初心者は難しい楽器に感じるかもしれません。
ホルンはこれらの要素から繊細なコントロールが不可欠であり、その難しさからギネスにおいても世界一難しい金管楽器として認定されています。
10位:オーボエ
オーボエはファゴットと同じくダブルリードを使用し、細い管に息を吹き込むため、力の加減や正確な口の位置調整が難しい楽器です。
また、空気の抵抗が強く、音を鳴らすだけでも高い難易度を伴います。肺活量はそれほど求められませんが、逆に余った息が問題になることがあります。
このため、ギネスにおいても世界一難しい木管楽器として登録されています。オーボエはその独特の音色と表現力が魅力ですが、演奏者にとっては技術的な挑戦が絶えない楽器とされています。
番外①:コントラバス
コントラバスは吹奏楽において唯一の弦楽器です。4本の弦を奏でますが、音程を取るためにはフレットと呼ばれる音階を示す隆起がなく、ある程度の音感が求められます。
また、演奏には弓が用いられ、肺活量は必要ありませんが、弓の遣いやコントロールなどは管楽器とは異なり、独自の演奏の難しさがあります。
コントラバスの存在は吹奏楽において独特な音色と深みを加え、多様な音楽ジャンルにおいて重要な役割を果たしています。
番外②:パーカッション
パーカッションで使用される多くの打楽器は、叩けば音が出るため、初心者でもすぐに演奏しやすいかもしれません。
たとえばバスドラムやシンバルなどは音程がなく、楽譜も読みやすく、運指に悩むことが少ない特徴があります。
ただし、シロフォンやグロッケンのような鍵盤楽器は、管楽器のように音感があり、メロディーパートを担当する機会も多いので、細かな手の動きが要求されます。
さらにティンパニやスネアドラムなどの一部の楽器では、ロールのような繊細な動きや高度な技術が要求されるため、リズム感をはじめ幅広い演奏スキルが求められるでしょう。
楽器の難易度に関するよくある質問
ここでは楽器の難易度についてよくある質問とその回答を紹介します。
肺活量が必要な楽器は?
楽器の大きさや管の長さが増すほど、演奏にはより多くの息が必要です。たとえば、チューバやトロンボーン、ホルンなどは管が長いため、トランペットなどと比較して肺活量がより求められます。
また、木管楽器でもフルートのようにリードの抵抗が少ない楽器は、吹いた息が抜けやすく、安定した音を鳴らすためには、ある程度の肺活量が必要です。
一方、オーボエのようなリードの抵抗のある楽器は、肺活量が不足する場面は少ないものの、息が余りブレスが長くなるといったケースも考えられます。
どんな楽器が自分に向いている?
楽器の適性は唇の形や体格、息が続くかなどいくつかの要素で判断されます。どの楽器が向いているのか分からない人は、最初にその楽器を吹いてみて、他の楽器と比較して最も高い音が出れば、その楽器が向いている可能性が高いでしょう。
ほかにも楽器の向き不向きは技術だけでなく、性格や好みにも左右されます。
具体的には、目立ちたい人はトランペットやサックスなどメロディーやソロパートが多い楽器が適しているといえるでしょう。
不人気と言われる楽器は?
楽器の買取屋さんが実施した、はじめてみたい吹奏楽の楽器に関するアンケートの結果では、チューバ、ファゴット、ホルンの順で票の少ない結果となっています。
これらの楽器は、ほかの楽器と比べると人気が少ないといえるかもしれません。
しかし、チューバは低音の要ともいえる楽器で、ファゴットやホルンもハーモニーを奏でるうえで欠かせない重要な楽器です。
人気の楽器のランキングについては下記の記事でも紹介しているため、こちらを参考にしてみてください。
まとめ
吹奏楽で簡単とされる楽器をランキング形式で紹介しました。吹奏楽には比較的音が出しやすい楽器もありますが、難しい楽器も合奏全体を支えるうえで欠かせない存在です。
また、どんな楽器も練習すれば演奏できるようになるため、難しいからといって過度に身構える必要はないでしょう。
もちろん楽器によって体格や性格などに相性があるため、簡単な楽器だと思っていても自分にとっては難しいと感じる場合もあります。これから吹奏楽の楽器を始める人は、体験入部やレッスンなどで気になった楽器を一度体験してみると、自分に合った楽器を見つけやすいでしょう。