ギターの上達のためには練習が欠かせません。しかし、長時間の練習や不適切な演奏姿勢は、手首の痛みや腱鞘炎を招くことがあります。
腱鞘炎とは、筋肉と骨をつなぐ腱が炎症を起こして腫れたり傷ついたりすることです。
ギター練習で手指を過度に使用すると、腱に負担がかかり痛みを感じやすくなりします。
ギターの練習する際は、あらかじめ予防方法や対処方法を理解しておくと、より安全で快適に楽しめるでしょう。
この記事では、ギター演奏における手首の痛みや腱鞘炎の予防方法、対処方法を紹介します。
この記事のポイント
ギターで手首が痛くなる・腱鞘炎になる原因
ギターで手首が痛くなる原因は、練習のしすぎや不適切な弾フォームが考えられます。
予防策と対処法を知る前にどのような原因で手首が痛くなるのかを確認しておきましょう。
長い時間連続で練習しすぎている
過度な練習は手首に負担をかけ、痛みや腱鞘炎の原因となります。
特に同じフレーズやコードを繰り返し練習することで、負担が特定の部位に集中して痛みを引き起こしやすくなります。
そのためギターを長時間練習する際は、適度に休息して手首を休ませることが重要です。
ギターの構え方や弾き方が不適切
ギターを演奏する際は正しい構え方や弾き方が非常に重要です。
不適切なフォームでの演奏は、演奏のしにくさや手首への負担につながります。
特に初心者の方は、フォームが定まっていないことが多く、手首の痛みや腱鞘炎になりやすいでしょう。
ある程度ギターの演奏に慣れてきた中級者以上では、初心者と比べて傷みにくいかもしれません。
しかし、正しいフォームの習得はどのレベルの演奏者にとっても重要なので、意識して練習しましょう。
ギターで手首を痛めない予防方法
ギターを演奏する際は、適切な予防策を講じることで手首の痛みが避けられます。
この見出しでは、ギタリストが手首の痛みや腱鞘炎を防ぐための予防方法を紹介します。
ギターの構え方や弾き方を見直す
正しい構え方や弾き方の確立は、ギターを上達するうえでも重要です。
不適切なフォームは演奏の質に影響を及ぼすだけでなく、場合によっては手首の痛みや腱鞘炎を引き起こす原因となります。
この見出しでは、ギターの正しく構え方や手首に負担をかけず安全に弾くためのフォームを紹介します。
ギターを高めに構える
ギターを高めに構えるとひじが自然と下がり、手首もまっすぐな状態で弾きやすくなります。
また、ギターのネックを顔に近づけることで、手首の負担を軽減して腱鞘炎も防ぐことができるでしょう。
ただし、ギターを高めにすると弾き心地が変わります。そのため、ピッキングのしやすさも考慮して、適度な距離感を見つけることが重要です。
一度ギターを高めに構えてから少しずつ下げるなど、自然に弾きやすい位置を探しながら調整してみましょう。
指板を顔に向けすぎない
特に初心者はギターの指板が見やすいように顔の方向に傾けがちです。
しかし、指板全体を見ようとすると手首の角度を不自然にしてしまい、腱鞘炎のリスクが上がります。
手首を痛めないためには、なるべく前側へ指板を向けて手首の負担を減らせるように心がけましょう。
初めは指が見づらく感じるかもしれませんが、痛みや腱鞘炎を予防できます。
ピッキングがしやすい角度を見つける
ギターを演奏する際は、ピックを持つ手も腱鞘炎になるリスクがあります。
痛みを避けて快適に演奏するためには、手の位置や角度、動き方を見直しましょう。
自然で演奏しやすい角度を見つけることで、手首への負担を減らして腱鞘炎のリスクを低減できます。
コードが弾きづらい時は別の押さえ方を試してみる
ギターコードを押さえる方法は一つではありません。コードが弾きにくい場合は、別の抑え方を試すことで手首への負担を減らします。
なお、ギターコードの押さえ方はコード表でも確認できます。
適度に休憩する
ギターの練習中に手首に違和感を覚えたら無理をせず休憩しましょう。たとえば1時間練習した後に5~10分休憩すると手首の負担も和らぎます。
また、練習するフレーズのバリエーションを増やすことも方法です。ほかにもテンポをゆっくりめに設定すると、基礎からじっくり練習でき、手首の痛みも軽減できます。
手首をストレッチをする
ギター演奏前後のストレッチは、手首の柔軟性を高めて痛みを予防する際に有効です。
特に重要なのが、前腕伸筋群、前腕屈筋群、橈側手根伸筋のストレッチです。
それぞれのストレッチ方法は下記の通りとなります。
①前腕伸筋群のストレッチ
まずは手の甲を上にして逆の手で内側に曲げましょう。
その際に肘が曲がっていると効果が低くなるため、必ず伸ばした状態で行ってください。
②前腕屈筋群のストレッチ
次に手の平を上にした状態のまま、反対の手で外側に曲げます。
こちらも肘が曲がらないように伸ばした状態で行ってください。
③橈側手根伸筋のストレッチ
最後に手を握った状態でイラストのように前側に曲げます。
その際に肘を伸ばして親指を意識すると、筋が伸びていることを感じやすいでしょう。
ギターで手首が痛くなったときの対処方法
手首に痛みを感じているのに無視して演奏を続けると、症状が悪化する恐れがあります。
ギターを演奏していて手首に痛みを感じたのであれば、適切に対処しましょう。
ここでは、手首の痛みの対処方法と痛みを和らげるためにできることを紹介します。
練習を中断して手首を休ませる
過度な練習は手首に負担をかけ、腱鞘炎などの症状を引き起こす可能性があります。
ギターを練習していて手首に痛みや違和感を感じた際は、無理をせずに手首を休ませましょう。
痛みが和らいだら、どのような練習や演奏で痛みを感じたのかを振り返ってみてください。
演奏方法を見直しやすくなり、痛みの軽減や技術の向上に繋がります。
手首用のサポーターを使用する
手首用のサポーターは、手首の動きを制限して負担や痛みを軽減するアイテムです。
ただし、サポーターはあくまでも一時的な対処方法です。そのまま過度な練習を続けると、状況を悪化させる可能性があります。
手首にサポーターを装着している時は、痛みが回復するまでなるべくギターの練習を控えましょう。
痛み止めや消炎剤を使用する
どうしても手首の痛みが我慢できないときは痛み止めや消炎剤を使うことも方法です。
これらは一時的に痛みを和らげることはできますが、根本的な問題の解決にはなりません。
痛み止めや消炎剤を使っても手首の痛みが続く場合は、整形外科など専門医を受診しましょう。
まとめ
ギター演奏時の手首の痛みや腱鞘炎は、過度な練習や不適切なフォームによって起こりやすくなります。
予防策として、正しい構え方や弾き方の見直しや適度な休憩、手首のストレッチを行いましょう。
ほかにも手首用のサポーターを使用する、必要に応じて痛み止めや消炎剤を利用するといった方法もあります。
ただし、あくまでも一時的な対策方法となるため、根本的な解決には専門医の診断も検討しましょう。