ポリ塗装と呼ばれるポリエステル塗装やポリウレタン塗装は、ラッカー塗装に比べて経年劣化が少ないとされています。しかし、完全に経年劣化を避けることはできません。
なるべくコンディションの良い状態をキープしたいのであれば、あらかじめ経年劣化の症状や原因、予防方法を知っておきましょう。
この記事ではポリ塗装が経年劣化する主な症状と対策方法を解説します。
ポリ塗装については下記の記事で紹介しているため、気になる人はこちらも参考にしてみて下さい。
ギターのポリ塗装とは?ポリウレタン塗装とポリエステル塗装の違いも解説
この記事のポイント
ギターのポリ塗装が経年劣化で起こす症状
ポリ塗装は紫外線や摩擦、温度変化などさまざまな要因で劣化し、ギターの外観や質感に影響を及ぼします。
具体的にどのような経年劣化が起きるのかそれぞれ見ていきましょう。
塗料が黄ばむ
ポリウレタン塗装はもとからわずかに黄色がかっていますが、経年劣化と共に黄ばみが強くなります。
主な原因は紫外線や室内の照明といった光全般で、特にホワイトカラーのギターではこの変化が目立ちやすいでしょう。
また、黄ばみは一夜にして起こるものではなく、長い時間をかけて徐々に進行します。
白濁して白っぽくなる
ポリウレタン塗装のギターは経年劣化により白濁現象が起きる場合があります。
この症状は、湿気や水分が塗装層に侵入することで発生し、「かぶり」とも呼ばれます。
特に湿度が高い環境下や長期間ギターケース内に保管していると、白濁するリスクが高まるため注意しましょう。
クラックの発生や塗料が剥がれる
ポリウレタン塗装のギターは、塗膜が厚くて安定しているため、自然に割れたり剥がれたりすることは少ないでしょう。
しかし、外部からの衝撃によってこのような症状が発生する可能性があります。
特にポリウレタン塗装は塗膜が厚い一方で伸縮性が乏しいため、衝撃による割れや剥がれが起こりやすい特性があります。
ギターのポリ塗装の経年劣化を防ぐ方法
ギターのポリ塗装は、適切なケアを施すことで良好なコンディションが保てます。
ここではポリ塗装の経年劣化を防ぐために役立つ具体的な方法を紹介します。
なるべくケースに入れる
ギターを使わない時はケースに収納して直射日光や蛍光灯から保護しましょう。黄ばみを防いで落下や衝撃からもギターを守ります。
一方、ケース内部の湿度が上がれば、経年劣化が早まる可能性が考えられるでしょう。
その際はケース内に入れる除湿剤の使用や定期的な換気がおすすめです。
湿度や温度変化の少ない場所に保管する
ポリ塗装を長持ちさせるためには、湿度や温度の変化が少ない環境が理想です。
理想的な湿度は40~50%程度とされているため、エアコンを使用すれば一定に保ちやすいでしょう。
しかし、一年中エアコンを使うことは現実的ではありません。なるべく日の当たらない室内に保管するなど、人が過ごしやすい環境での保管を心がけると、エアコンを使わなくても経年劣化リスクを軽減できます。
ギターのポリ塗装の経年劣化に関するよくある質問
最後にポリ塗装の経年劣化に関するよくある質問とその回答を紹介します。
ポリ塗装のギターはレリックギターのように経年劣化できる?
レリックギターとは、経年劣化を模した加工が施されたギターで、主に塗膜の薄いラッカー塗装が用いられています。
これに対してポリ塗装のギターは塗膜が厚く、経年でのひび割れや塗装の剥がれが少ないため、自然な劣化でレリックの外観になることは難しいでしょう。
もしレリックギターの外観を求める場合は、ラッカー塗装のギターや比較的塗膜の薄めなポリウレタン塗装のギターを加工する方法があります。
トップラッカーやオーバー塗装のギターはどう経年劣化する?
トップラッカーとは、ギターの最上層にラッカー塗装を施すことを指します。
一方、オーバー塗装はポリ塗装の上に塗料を重ねる手法です。
経年劣化によりラッカー塗装が剥がれると、下のポリ塗装が露出します。
この変化はクリアー塗料だと目立ちにくいですが、異なる色であれば剥がれた部分の違いが分かりやすいでしょう。
そのため、色の変化を楽しむためにあえて異なる色のラッカー塗装をする人もいます。
まとめ
ギターのポリ塗装はさまざまな原因によって経年劣化を起こすため、適切な保管方法をが重要です。
ポリ塗装の劣化が気になる人は、ケースに保管して湿度や温度にも気を配りしましょう。
もしギターの売却を検討しているのであれば、経年劣化を起こしてギターの価値が下がる前に売ることをおすすめします。
楽器の買取屋さんは全国エリアに対応した楽器買取の専門店です。
ポリ塗装されたギターの買取実績も豊富ですので、検討中の方はぜひご利用ください。