アルペジオは一音ごとの存在感が高く、曲に疾走感を出せるため、ポップスやロック、ジャズなどジャンルに関係なく演奏する機会が多いテクニックです。
そのため、ギターボーカルやギタリストを問わず習得しておきたいスキルの一つと言えるでしょう。
この記事ではアルペジオの種類と練習方法を紹介します。ギターを始めたばかりの方も、アルペジオを使って演奏の幅を広げてみませんか。
この記事のポイント
ギターのアルペジオとは
アルペジオはコードを一音ずつバラバラに演奏する奏法を意味し、「分散和音」とも呼ばれています。一音ずつ弾く方法が一般的ですが、2音弾くやり方もあります。
ロックでも頻繁に使用され、たとえばback numberの有名な曲「高嶺の花子さん」でも、30秒ぐらいのイントロからディレイをかけたアルペジオが効果的に使われています。
アルペジオをきれいに演奏するためには、鳴らした音を止めずにしっかりコードを押さえる必要があるため、弾きこなすためには地道な練習が大切です。
アルペジオの弾き方
アルペジオは大きく分けてピック弾きと指弾きの2種類あります。それぞれの特徴や弾き方を見ていきましょう。
ピック弾き
ピックを使って演奏する方法で、初心者でも一定の音量を出しやすくてチャレンジしやすいのが特徴です。演奏するときはダウンピッキングとアップピッキングを組み合わせたオルタネイトピッキングが基本となります。
ストロークとも併用しやすく、AメロやBメロで使い分けることも可能です。
指弾き
ピックを使わず指で弾く方法で、親指・人差し指・中指の三本を使う「スリーフィンガー」と薬指を追加した「フォーフィンガー」で演奏されます。
ピック弾きよりも丸みのあるサウンドを出せることから、弾き語りなどでも用いられています。一方、複数の指を駆使して演奏するため、ギターの演奏に慣れていない初心者の方は慣れるまでに時間がかかりやすいかもしれません。
アルペジオの練習方法【アコギ・エレキギター共通】
アルペジオの練習方法はアコギとエレキギターで共通しています。ピック弾きと指弾き別にそれぞれの練習法を見ていきましょう。
ピック弾きの練習方法
構え方は普段のコードストロークを弾く場合と同じです。アルペジオを引くときはピックの先端付近を持つと、弦と指の距離が近くなり演奏がしやすくなります。
最初は右手の小指をブリッジに固定するとピッキングが安定しやすいでしょう。
ここではCコードとGコードの基本的なアルペジオパターンを練習してみましょう。アップダウンでピッキングするときは一定の音量で弾けるように意識することが大切です。
徐々にテンポを上げていくと、スムーズに演奏できるようになっていきます。
指弾きの練習方法
ここではCコードとGコードのアルペジオを指弾きで練習します。アルペジオの指弾きは弦ごとに指の位置が異なるので、見なくても弾けるように練習してみてください。
また、弦を弾く指はフォーフィンガーとスリーフィンガーで異なります。それぞれの弾き方で使う指は下記の表の通りですが、弾きやすければどちらの方法でも大丈夫です。
スリーフィンガー |
フォーフィンガー |
|
1弦 |
中指 |
薬指 |
2弦 |
人差し指 |
中指 |
3弦 |
親指 |
人差し指 |
4弦 |
親指 |
親指 |
5弦 |
親指 |
親指 |
6弦 |
親指 |
親指 |
鏡の前で練習すると手元を見ずにポジションを確認しやすいのでおすすめです。慣れるまではゆっくりしたテンポではじめ、正確に弾くことを意識しましょう。
アルペジオを練習するコツ
ここからはアルペジオを上達させるためのコツを紹介します。
メトロノームを使って遅いテンポから練習する
アルペジオは一定のリズムを維持しながら演奏するテクニックです。いきなり速いテンポで弾こうとするとうまく弾けず挫折しやすいので注意が必要です。
アルペジオを上手に弾くためには、メトロノームを使ってゆっくりしたテンポから練習するとリズムキープのコツをつかみやすくなります。
慣れてきたら徐々にスピードを上げていくと、素早いアルペジオも演奏できるようになるでしょう。焦らずに一音一音を丁寧に弾くことを心がけてみてください。
エレキギターで練習するときはアンプにつなぐ
ギターをアンプに繋ぐと細かい音まで聞き取ることができるので、上達に役立ちます。特にアルペジオは繊細さが求められるため、弾いた弦がきれいになっているか、ノイズが出ていないかといった確認が重要です。
アンプでの練習が難しければヘッドフォンを使うと、音が小さくても演奏を確認しやすくなります。また、アンプを使う際は音を歪ませるとミスが目立ちにくいため、クリーントーンで練習しましょう。
丁寧に音を拾えるクリーンサウンドで弾くことで、アルペジオも自然に上達するはずです。
コードを押さえる手の形を覚える
アルペジオは基本的にコードを押さえて弾くので、一度コードを覚えてしまえば自然に演奏しやすくなります。そのため、なるべく譜面を見ずに練習するように心がけましょう。
万が一コードを忘れてしまっても、再確認して徐々に見る回数を減らしていけば、最後は見なくても弾けるようになります。
また、コードを押さえる手の形が身についてくると、アルペジオもスムーズに弾けるようになるでしょう。
弦を押さえる時は指を立てる
フレットを押さえる指を立てると、指がほかの弦に触れにくくなりアルペジオがきれいに鳴りやすくなります。1本の指で複数の弦を同時に押さえる場合を除いて、なるべく指を立てて押さえるように練習しましょう。
最初は指に力が入りやすいですが、慣れてくれば力を抜いて押さえるコツがつかめます。指を立てる練習は地味ですが、アルペジオの上達には欠かせません。
なるべく手の形を崩さないようにコードチェンジする
アルペジオは音が途切れないように一音ずつ重ねる演奏方法です。そのため、なるべく手の形を崩さずにコードチェンジを心がけると、和音の響きが長くなり演奏の上達にもつながります。
弦を押さえた状態で指を移動するときは、動きが最小限になるように繰り返し練習しましょう。一音ずつ丁寧に演奏し、なるべく音の切れ目を作らないように弾くことがコツです。
ギターのアルペジオのよくある質問
最後にアルペジオに関するよくある質問に答えていきます。
アルペジオを弾く順番は?
アルペジオは基本的にルート音から順番に弾きます。ルート音とはコードを構成する基本となる音で、たとえばGコードのルート音は「G」となります。
演奏するコードのうち一番低い音がルート音になるため、アルペジオは5,6弦から始まることがほとんどです。
ただし、5,6弦を弾かないDコードは4弦の開放弦から弾く方法が一般的です。コードごとにルート音の位置を覚えておくと、アルペジオを弾く順番がわかりやすくなるので覚えておきましょう。
初心者でもアルペジオで弾き語りできる?
初心者でもしっかり練習すればアルペジオで弾き語りはできます。たとえばスピッツの「ロビンソン」は冒頭のアルペジオが印象的で、弾き語りの定番曲です。
フレットの移動が多いので、最初はテンポを落としてからじっくり練習するとコツをつかみやすいでしょう。動画を参考にしながらゆっくりと確実に練習を重ねてみてください。
まとめ
アルペジオはギター演奏に欠かせないテクニックの一つです。ピック弾きと指弾きの2種類があり、それぞれ特徴や練習方法が異なります。
初心者の方はメトロノームを使ってゆっくりしたテンポから練習し、コードを覚えながら手の形に気を付けて弾くことが上達のポイントです。
慣れてきたらアルペジオを使った弾き語りにもチャレンジしてみましょう。