エレキギターのフィードバック奏法は、音を歪ませた状態でギターをアンプに近づけると発生するノイズを巧みに利用した演奏方法です。主に効果音として使用され、ロックを中心に演奏のアクセントとして幅広く活用されています。
例えば、ビートルズの名曲「I Feel Fine」では、曲の冒頭でフィードバック奏法を効果的に使用した演奏を聴くことができます。このような奏法をマスターすることで、ギタリストは自身の表現の幅を大きく広げることができるのです。
フィードバック奏法を習得したいと考えているなら、まずその仕組みを理解しましょう。この記事では、フィードバック奏法の仕組みと具体的な練習方法について詳しく解説していきます。
この記事のポイント
エレキギターのフィードバック奏法の仕組み
フィードバック奏法の仕組みを理解することは、この技法を効果的に使いこなす上で非常に重要です。主に「ピックアップによるフィードバック」と「アンプによるフィードバック」の2種類があり、それぞれ異なる特徴を持っています。
ピックアップによるフィードバック
ピックアップは、弦の振動を電気信号に変換する装置です。このフィードバックは、アンプから出た音が再びギターの弦を振動させ、その振動をピックアップが拾い、アンプに送ることで発生します。
この音のループが続くことで、音が持続し、フィードバックが起こります。ギターの位置や角度を変えることで、フィードバックのトーンやピッチを調整することが可能です。
アンプによるフィードバック
アンプによるフィードバックは、アンプのスピーカーから出た音が直接アンプ内の回路やスピーカー自体に影響を与え、音のループを形成することで発生します。
高いゲインやボリュームに設定することで、アンプが発した音の増幅と出力を繰り返すことでフィードバックが起こります。このタイプのフィードバックは、アンプの特性や設定に依存し、独特の音色を生み出します。
エレキギターのフィードバック奏法の練習方法
フィードバック奏法の練習では、ギターをアンプのスピーカーに向け、距離を調整しながらフィードバックが発生するポイントを探りましょう。開放弦や特定のフレットを弾いて、どの音がフィードバックしやすいかを見つけます。特に高音域の音はフィードバックしやすいことが多いです。
一度フィードバックが発生したら、その音を持続させる練習をします。ギターの位置の調整やボリュームを微調整することで、フィードバックを意図的に長く続けることができます。
トーンコントロールやピックアップセレクターを使って、フィードバックの音色を変える練習をします。弦に軽く触れてフィードバック音を変調させることも試してみましょう。
エレキギターのフィードバック奏法を練習するコツ
フィードバック奏法を効果的に練習するためには、以下のようにいくつかのコツがあります。
- アンプの設定を工夫する
- ブリッジ側のピックアップを使用する
- エフェクターを使う
- 弦やネックの位置で音色を調整する
ここではこれらのコツについて詳しく解説していきます。
アンプの設定を工夫する
アンプの設定は、フィードバック奏法の成功に大きく影響します。ゲインとボリュームを高めに設定することで、フィードバックの発生が促進されます。
また、EQ設定では高音域を少し強調すると、フィードバックが発生しやすくなり、中音域も適度に上げることで、よりコントロールしやすくなります。
ブリッジ側のピックアップを使用する
ピックアップの位置は、フィードバックの発生に大きく影響します。ブリッジピックアップはフィードバックを強調しやすいので、フィードバックが得られにくい場合はブリッジ側を使用しましょう。
また、ハムバッカーとシングルコイルを比較すると、一般的にハムバッカーの方が出力が高く、フィードバックが発生しやすい傾向があります。
エフェクターを使う
エフェクターを使用することで、フィードバックの音色やエフェクトのかかり具合が異なります。
例えばディストーションやオーバードライブで強めの歪みを加えると、フィードバックが起こりやすくなりおすすめです。また、ディレイを少し加えると、フィードバックがリズムを持って持続しやすくなります。さらにリバーブを使うと、フィードバックがより豊かに響きます。
弦やネックの位置で音色を調整する
ギターのネックを軽く押し下げることや弦を軽く触ることで、フィードバックのトーンやピッチをコントロールすることができます。
長く持続させたい音やフィードバックさせたい音を意識的に選び、サステインを意図的に持たせることが大切です。これらの技術を駆使することで、より表現豊かなフィードバック奏法が可能になります。
ギターのフィードバック奏法に関するよくある質問
フィードバック奏法に関するよくある質問として、ハウリングとの違いがあげられます。ハウリングは、スピーカーから出た音がマイクで再び拾われ、音がループして高音の「キーン」という不快な音が発生する現象です。
一方、フィードバック奏法は、意図的にエレキギターをアンプに向けて、スピーカーの音が弦を振動させ、その音をピックアップで拾い続けることで、心地よい持続音を得る技法です。意図しない高音や発振音はハウリングとされますが、フィードバック奏法は演奏において意図的に活用されます。
まとめ
エレキギターのフィードバック奏法は、ロック音楽の表現力を大きく広げる重要な技法です。その仕組みは、ピックアップとアンプの相互作用によって生み出され、適切な練習と理解によって習得することができます。
練習の際は、アンプの設定、ピックアップの選択、エフェクターの使用など、さまざまな要素を考慮することが重要です。また、ギター本体の操作技術も磨くことで、より豊かな表現が可能になります。
フィードバック奏法は単なるノイズではなく、意図的に制御された音楽表現の一つです。ハウリングとの違いを理解し、適切に活用することで、独自の音楽性を築くことができるでしょう。フィードバック奏法を通じて、ぜひギターの表現の幅を広げてみてください。