大人数で演奏する吹奏楽では、形や音の異なるさまざまな楽器が使用されます。トランペットやフルートなど有名な楽器の名前は知っていても、ほかにはどのような楽器が使われるのか分からない方も多いかもしれません。
これから吹奏楽をはじめようと考えているのであれば、あらかじめ吹奏楽で使われる楽器の種類を知っておくと、楽器選びや必要な物の準備に役立ちます。
この記事では吹奏楽で使用される楽器を4つのグループに分けてそれぞれ紹介します。各楽器の特徴についても紹介していますので、吹奏楽で使われる楽器が気になる人はぜひ参考にしてみてください。
この記事のポイント
吹奏楽で使用される楽器
吹奏楽で使用される楽器は、大きく分けて、木管楽器、金管楽器、打楽器、弦楽器の4つに分けられます。
ここでは各楽器の種類ごとに特徴を紹介します。
吹奏楽で使用される人気の楽器や簡単な楽器のランキングは、下記の記事で紹介しているためこちらも参考にしてみてください。
木管楽器
木管楽器はその名の通り木を使った楽器を指しますが、フルートやサックスなどは金属製となっています。木製だから木管楽器というわけではなく、唇を震わせて発音をするリップリード楽器以外の楽器が木管楽器として分けられることがほとんどです。
ここでは吹奏楽で使用される木管楽器を紹介します。
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フルート
フルートは主に高音域を担当し、メロディーラインを受け持つことも多い楽器です。その透明で優雅な音色は曲に華やかな印象を与え、吹奏楽以外にもオーケストラからポップスまで幅広いジャンルで愛用されています。
また、横向きに構え、リードを使用せずに空気を振動させて音を出す独自の奏法から、フルートはエアリード楽器とも呼ばれます。
ピッコロ
ピッコロはフルートよりも1オクターブ高い音が出る楽器で、吹奏楽の中で最も高い音を担当することが多いです。
小さなサイズながら、曲に華やかな要素を加え、演奏に欠かせない楽器として扱われます。また、フルートパートがピッコロを兼任することが多く、曲によっては使い分けて楽曲に輝きを添えます。
クラリネット
クラリネットは吹奏楽の中でメロディーパートを中心に演奏する重要な楽器です。主に中~高音域を担当しますが、音域によって異なるクラリネットの種類が存在します。
代表的なクラリネットには、エスクラリネット、ベークラリネット、アルトクラリネット、バスクラリネットなどがあり、それぞれ下記のような特徴があります。
- E♭エスクラリネット
B♭クラリネットよりも小さめで、 B♭クラリネットよりも高音域で演奏される楽器です。
主に吹奏楽や室内楽を中心に高い音を出すときに使用されます。
- B♭ベークラリネット
最も一般的なサイズのクラリネットで、 中〜高音域を中心に演奏されます。クラシックや吹奏楽だけでなくジャズやポピュラー音楽など幅広いジャンルで使用されることも特徴です。
- アルトクラリネット
B♭クラリネットよりもやや大きく、吹奏楽やオーケストラの低音部、室内楽で使用される楽器です。
- バスクラリネット
4つのうち最も大型のクラリネットで、ベルの部分はU字形の曲線を持ちます。主に低音域を中心に演奏され、チューバやコントラバスなど、低音パートと似たような動きをする場合もあります。
クラシック音楽や吹奏楽、場合によってはジャズなどで使用され、低音セクションの一員としても重要な位置を占める楽器です。
オーボエ
オーボエはダブルリードと呼ばれる2枚のリードを振動させて音を出す楽器で、柔らかで独特な音色が特徴です。吹奏楽においては、フルートに続き高音域を担当する機会が多い楽器となります。
編成によってはオーボエパートがない場合もありますが、哀愁のある音色は曲に深みを与え、曲によってはソロの機会もあり、吹奏楽において重要な楽器として扱われています。
ファゴット
ファゴットはオーボエと同様にダブルリードを使用し、中低音を中心に温かみのある音を出す楽器です。管の長さが長いため、前側に向けて構える演奏ポジションが特徴です。
編成によってはファゴットパートが欠けることもありますが、低音の豊かな響きはアンサンブルに深みを与えるため、吹奏楽では重要な存在とされています。
サックス
サックスはメロディーや伴奏以外にもソロの機会も多い楽器です。また、見た目も華やかなので、吹奏楽では花形の楽器とされています。
サックスは音域によっていくつかの種類があり、それぞれ特徴や形状が異なります。
- ソプラノサックス
最高音域のサックスで、一般的に曲の中で最も高音のメロディーを担当します。
直立または曲がった形状のネックが特徴的で、見た目は小型で細長い形状です。
- アルトサックス
サックスの中では中音域に位置し、最も一般的なサイズとなっています。アルトサックスは吹奏楽以外にも、ジャズやポピュラー音楽などでも幅広く使用されます。
- テナーサックス
テナーサックスはアルトサックスよりも大きく、低音域を中心に用いられるサックスです。吹奏楽以外にもジャズやロックなどのジャンルでも使用されます。
- バリトンサックス
サックスの中で最も低い音域を持つバリトンサックスは、低音部の支えとして重要な役割を果たします。
また、非常に大きなサイズで、広い音域と力強い音が特徴です。吹奏楽以外でもジャズなどに使用されます。
金管楽器
金属製のマウスピースを使い、唇を振動させて音を出すため、リップリード楽器とも呼ばれる。
ここでは吹奏楽で使用される主な金管楽器の種類や特徴を紹介します。
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トランペット
トランペットは音色が明るく、抜けるような高音も出せるため、吹奏楽ではメロディーラインを担当することが多い楽器です。知名度も高く、ソロの機会も多いため、吹奏楽の中で花形の楽器とされています。
より柔らかな音色が求められる場合にはコルネットやフリューゲルホルンといった楽器なども使用されます。
トロンボーン
トロンボーンは中低音を受け持ち、主にハーモニーを担当することから、バンドサウンドの印象を決める重要な楽器として扱われます。
特徴的なのはスライドを前後させることによって音階を変えることで、独特の表現力を持っています。その音域によって、テナー、テナーバス、バスの3種類に分かれ、各楽器が異なる音域でアンサンブルを形成します。トロンボーンはその深い音色と柔軟な表現力で、吹奏楽のサウンドに欠かせない存在となっています。
ホルン
ホルンは、ベルの向きが後ろを向いており、音程や音色はベルに入れた右手でコントロールすることで繊細な音色を奏でます。
主にハーモニーや裏打ちリズムを担当し、木管楽器と金管楽器のどちらにもなじみやすい音色で全体の音をまとめる役割も持っています。その特有の音色と表現力により、吹奏楽では重要な存在とされています。
ユーフォニアム
ユーフォニアムは、トロンボーンと同様に中低音域を担当し、柔らかな音色が特徴です。伴奏以外にもメロディーを受け持つこともあります。
また、マウスピースがトロンボーンと共通しており、初心者でも比較的音が出しやすいことも特徴です。
ユーフォニアムは3本または4本のピストンを使用して音階を変えられるため、細かい動きや表現力の豊かな演奏もしやすく、吹奏楽では重要な役割を担当する楽器となります。
チューバ
チューバは最も低い音を担当し、管楽器の中でも特に大きいサイズの楽器です。主に伴奏を担当し、重厚な音色で曲の安定感に大きく関わるため、吹奏楽においては欠かせない存在とされています。
主に座って演奏しますが、マーチングなど演奏に動きが求められる場合は、スーザフォンと呼ばれる楽器を演奏することもあります。
打楽器
吹奏楽で使用される打楽器は、ここで紹介するもの以外にもトライアングルやチャイム、カスタネットなどがあります。ここでは吹奏楽で使用される代表的な打楽器を紹介します。
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ティンパニ
ティンパニはペダルで音階が調整できる太鼓で、4~5台が1セットになって使用されます。マレットで演奏し、皮の中心を叩かずに端を叩いて音を出すことが特徴です。
他の打楽器とは異なり音程を表現できるため、管楽器と一緒にロールでハーモニーを奏でる場面もあります。
スネアドラム
スネアドラムは歯切れのよい音色が特徴で小太鼓とも呼ばれます。細かなフレーズやロールを組み合わせることで、リズムキープや盛り上げに使用されることが特徴です。
また、スネアドラムのはっきりした音色は耳に残りやすいため、安定した演奏をするには、一定の技術が求められます。
バスドラム
バスドラムは大太鼓と呼ばれ、片手でビーターを持ちもう片方の手で皮を押さえながら演奏します。4分音符や8分音符でリズムを刻む以外にも、両手でビーターを使ってロールのように演奏されることもあります。
シンバル
吹奏楽で使用されるシンバルは、大きく分けて「合わせシンバル」と「サスペンドシンバル」の2種類があります。合わせシンバルは2枚のシンバルを打ち合わせ、マーチングなどで頻繁に使用されます。
一方、サスペンドシンバルは1枚のシンバルを使い、主にマレットで左右交互にロールをし、曲を盛り上げる際に用いられます。
グロッケン
グロッケンは小型の鉄琴の一種で、きらびやかな音色が魅力の楽器です。主に金属製のマレットを使って演奏するため、周りの音に埋もれないストレートな音で、目立ちやすい楽器といえるでしょう。
また、音域が高いことから、フルートやピッコロなどの楽器とともに、メロディーパートを演奏することが多いことも特徴です。
ビブラフォン
ビブラフォンは鉄琴の一種で、モーターで共鳴管のファンを回し、ビブラートをかけることができます。共鳴管のファンはスピードを調整できるため、ビブラートのかけ具合が変えられ、オフにすることも可能です。
また、足元のペダルでダンパーを操作することで、サスティンもコントロールできることも特徴です。ビブラフォンは音がよく伸びることから、メロディーだけでなく、ハーモニーも担当します。
シロフォン
シロフォンは木製の板をピアノの鍵盤のように配置した木琴の一種です。硬くて目立つ音が特徴で、主にメロディーパートを担当します。一見マリンバにも似ていますが、シロフォンの方がマリンバよりも高い音域を担当し、より固い音色なのが特徴です。
マリンバ
マリンバは大型の木琴で、シロフォンよりも共鳴管が長く、音板も太くて長い特徴があります。音域が5オクターブほどと広い音域を持ち、柔らかな音で曲を彩ります
演奏の際は毛糸で巻かれたマレットやゴム製のマレットを使用することが多く、和音を奏でる際に複数のマレットを使います。
弦楽器
吹奏楽での弦楽器は主にコントラバスのみとなります。コントラバスは大型の弦楽器で、チューバとともにベースパートを務め、低音の深みを加える重要な存在です。
また管楽器とは違い演奏の際には弓を使い、曲によっては指で弦をはじくテクニックも用いることで、バリエーション豊かな音を奏でます。
吹奏楽で使用する楽器でよくある質問
ここでは吹奏楽で使用する楽器に関する質問とその回答を紹介します。
どの楽器が安い?
一般的にはサイズの小さな楽器は安い傾向があります。たとえばフルートやトランペットは、初心者用のモデルであれば、10万円程度から手に入りやすいでしょう。
一方で、チューバのような大型の楽器は初心者向けであっても30万円近くかかることも珍しくありません。また、吹奏楽部や楽団によってはレンタルできる場合もあるので、最初から楽器を購入する必要はないでしょう。
吹奏楽でマイナーな楽器はどれ?
ファゴットやオーボエは編成によっては存在しないことがあり、マイナーな楽器とされることがあります。
また、ホルンやユーフォニアムのような主に伴奏を担当する楽器も、一部で知名度が低いと感じられることがあります。ただし、吹奏楽の演奏は目立つ楽器だけでは成り立たないため、これらの楽器も吹奏楽全体では不可欠です。
難易度が高くて難しい楽器は?
ホルンやオーボエは演奏において高度な技術と微細な制御が要求され、その難易度からギネスにおいても難しい楽器として認定されています。
ホルンは息の入れ方や手の角度が音質に大きく影響し、オーボエは繊細な息のコントロールが求められます。
どちらも練習次第で克服できる難しさではありますが、初心者にハードルが高く感じるかもしれません。
吹奏楽で簡単な楽器については下位の記事でも紹介しているため、気になる人はこちらも参考にしてみてください。
内部リンク:吹奏楽 楽器 簡単
吹奏楽で使われる音域の広い楽器は?
吹奏楽での音域が広い楽器には、クラリネットやホルンが挙げられます。これらの管楽器は約4オクターブにわたり音を奏で、多彩な音楽表現が可能です。
また、打楽器でも、マリンバは4~5オクターブの広い音域をもつことから、吹奏楽以外にも幅広い音楽ジャンルに対応します。
まとめ
吹奏楽で使用される楽器は大きく分けて金管楽器、木管楽器、打楽器、弦楽器の4種類に分けられます。
また同じサックスであっても、アルトサックスやテナーサックス、バリトンサックスなど、担当する音域によって複数の種類があることも特徴です。
いずれの楽器も吹奏楽の演奏をするうえで欠かせないものばかりですので、これから吹奏楽をはじめてみたい方は、今回紹介した内容を参考に楽器探しを進めてみてください。
その際に気になった楽器があれば、仮入部や体験レッスンなどを通じて一度体験してみると自分に合った楽器を見つけやすいでしょう。