ピックスクラッチは、ピックでギターの弦をこすって演奏するテクニックです。「ギュイーン」という特徴的なサウンドで、ロックミュージックを中心に楽曲のアクセントや効果音として用いられることもあります。
たとえば東京事変の「群青日和」では、冒頭1分10秒のサビ前のフレーズとしてピックスクラッチの特徴的なサウンドを聴くことができます。
シンプルなテクニックなので、初心者の方でも比較的簡単に音を出しやすいでしょう。
しかし、安定したサウンドで演奏するには、ピックの角度や当てる強さなど、いくつかのコツを押さえる必要があります。
この記事では、ピックスクラッチの基本的なやり方から練習のコツまで詳しく解説していきます。
この記事のポイント
ピックスクラッチのやり方
ピックスクラッチから始まる定番フレーズを参考に練習してみましょう。ピックスクラッチは楽曲の譜面によって異なりますが、「P.S」や波線で表記されることが多いです。
このフレーズのピックスクラッチは1小節分の長さがあるので、最初はゆっくりとピックをスライドさせることがポイントです。また、スクラッチする距離が長すぎると直後のピッキングに間に合わなくなるので注意しましょう。
ピックスクラッチ後のパワーコードは、ブリッジミュートで演奏するとサウンドが引き締まります。最初はていねいに弾けるよう120くらいのテンポで練習しましょう。
ピックスクラッチを練習するコツ
ピックスクラッチはコツさえ掴めば、初心者の方でも比較的習得しやすい奏法です。安定したサウンドを出すためには以下のポイントを踏まえて練習してみましょう。
ピックの側面の部分を当てる
ギター演奏ではピックの先端を使いますが、ピックスクラッチではピックの側面を弦に当てて音を鳴らします。その際に通常のピックの持ち方のまま手の向きだけを変えると、ピックスクラッチが終わった後もスムーズに演奏を続けることができます。
また、ピックスクラッチを安定して演奏したい場合は、側面の角度や面積が均等なオニギリ型のピックがおすすめです。
4~6弦で練習する
エレキギターの4~6弦は巻き弦と呼ばれており、ピックスクラッチはこの巻かれた部分にピックを押し当てることで音を出す仕組みです。
一方、1~3弦は巻き弦ではなく抵抗も少ないため、ピックスクラッチをしても音が出にくい傾向にあります。迫力のある音量で演奏するためにも、ピックスクラッチは4~6弦で練習しましょう。
歪ませた音で演奏する
ピックスクラッチは歪んだ音による演奏が前提となるため、練習する際もアンプに繋げることが重要です。
アンプに繋げずに練習すると本来のサウンドが出せず、練習の効率も落ちてしまいます。マンションや遅い時間など大音量で練習できない場合は、ヘッドフォンを使う方法もおすすめです。
ピックスクラッチを練習するときは、生音ではなくアンプを使いましょう。
ヘッドに向かってスライドさせる
ピックスクラッチはブリッジ側(手前)からヘッド側(奥)に向かってスライドさせる方法が基本です。
ただし、すぐに通常の演奏に戻る場面も多いので、あまり奥までスライドしすぎると、その後のフレーズが疎かになりやすいので注意してください。
具体的にはリアピックアップ~フレットの根本ぐらいまでの範囲で演奏すると、音量やピッチのバランスが良く、元の演奏に復帰しやすいでしょう。また、演奏を自然につなげられるように、前後のフレーズも意識しながらプレイすることが大切です。
ピックスクラッチしない弦はミュートする
ピックスクラッチは音を歪ませた状態で演奏するため、ノイズが出ると目立ちやすい奏法です。余分な音を鳴らさないためにも、演奏しない弦以外はミュートしておくことが大切です。
ピックスクラッチを演奏する際は、右手だけでなく左手も意識して演奏しましょう。
ピックスクラッチに関するよくある質問
ピックスクラッチを演奏する上でよくある疑問とその回答を紹介します。音程の変化やピックの寿命など初心者が気になる悩みをまとめました。
ピックスクラッチの音程はどう変わる?
ヘッド側にスライドさせるピックスクラッチは、だんだん音程が低くなっていくことが特徴です。反対にブリッジ側にスライドさせると音程が高くなっていきます。基本的にはヘッド側にスライドさせて音程を下げていく演奏方法が一般的です。
ピックスクラッチでピックは削れる?
ピックスクラッチは金属の弦にこすりつけて演奏するテクニックなので、どうしてもピックが削れてしまいます。ピックを弱く当てれば削れにくくなりますが、その分サウンドも小さくなります。
迫力のあるピックスクラッチを演奏したいなら、ピックは消耗品と割り切ってしっかりと弦に当てて演奏しましょう。
削れてしまったピックは演奏のしにくさや弦の寿命を短くさせる原因となるため、定期的に交換することもおすすめです。
ピックスクラッチの音作りのコツは?
先述の通り、ピックスクラッチは音を歪ませた状態で演奏するテクニックなので、歪みのかけ具合が重要になります。
ギターの歪みを作るには、エフェクターやギターアンプのGAIN機能で調整できます。GAINを12時の方向より高めに設定すると、効果的なサウンドが得られやすいでしょう。
ほかにもスクラッチのスピードやピックを当てる強さによっても音が変わるため、練習しながら理想の音を見つけてみてください。
まとめ
今回は、ギターのピックスクラッチのやり方や練習のコツについて解説しました。ピックスクラッチはピックの側面を弦に当てて音を出すテクニックで、音を歪ませることでより迫力のあるサウンドになります。
練習する際はピックの角度や当てる強さを意識しながら、焦らずゆっくりと練習していくことが重要です。今回の内容を参考にぜひピックスクラッチに挑戦してみてください。