スイッチング奏法とは、ギターに搭載されたピックアップセレクターやキルスイッチを操作し、音のオンオフを素早く切り替えながら演奏するテクニックです。

スイッチング奏法は効果音のように用いられ、例えばRage Against The Machineの「Know Your Enemy」という曲の冒頭フレーズでは、この奏法を利用した特徴的な演奏を聴くことができます。

スイッチング奏法を習得することで、ギター演奏の幅が広ります。しかし、この奏法には適したギターや機材があるため、練習を始める前にその種類を確認しておくことが重要です。

この記事では、スイッチング奏法の種類と練習方法、そして上達のコツを詳しく紹介します。

 

スイッチング奏法の種類

スイッチング奏法には主に3つの方法があります。

• ピックアップセレクターで切り替える
• キルスイッチを使用する
• エフェクターを使用する

それぞれの特徴や必要な機材が異なるので、自分のギターや好みに合わせて選びましょう。

 

ピックアップセレクターで切り替える

レスポールタイプのエレキギターなど、各ピックアップにボリュームノブがある場合に有効な方法です。

片方のピックアップの音量を最小、もう片方を最大に設定し、音を出した状態でピックアップセレクターを素早く切り替えると、特徴的な途切れたサウンドが得られます。

ただし、ストラトタイプのようにピックアップのボリュームが独立していないギターでは、この方法が使えません。その場合は、後述する別の方法を試してみましょう。

 

キルスイッチを使用する

キルスイッチは、ピックアップから拾った音をミュートするスイッチです。このスイッチを搭載したギターや後付けしたギターを使うことで、スイッチング奏法が可能になります。

キルスイッチには、押すたびにオンオフが切り替わるタイプや、押している間だけミュートされるタイプがあります。また、トグルスイッチのように操作レバーを倒して切り替えるタイプもあり、自分の好みに合わせて選びやすいことが特徴です。

 

エフェクターを使用する

レスポールタイプでないギターでキルスイッチも付いていない場合は、エフェクターを使う方法がおすすめです。

踏んでいる間だけ音をミュートするキルスイッチのように使えるエフェクターもあるため、これを使ってスイッチング奏法を演奏できます。

エフェクターによるスイッチング奏法の利点は、手ではなく足で音のオンオフができることです。そのため、他の方法と比べて両手が自由に使えることもポイントです。

 

スイッチング奏法の練習方法

スイッチング奏法の練習は、冒頭で紹介した動画のフレーズを参考にしたパターンから始めるのがよいでしょう。基本は16分音符となっており、ネックを持つ手でハンマリングとプリングを駆使して音を出します。

もう片方の手は、ピックアップセレクターまたはキルスイッチを使って素早くオンオフを繰り返します。エフェクターで演奏する場合は足を使いましょう。

左右の手を速いスピードで動かす必要があるため、最初はテンポを落として練習するとコツをつかみやすくなります。

 

スイッチング奏法を練習するコツ

スイッチング奏法を効果的に練習するためのコツをいくつか紹介します。これらのポイントを押さえることで、より速く上達することができるでしょう。

 

基本はハンマリング・プリングで音を出す

スイッチング奏法では、片手でピックアップセレクターやキルスイッチを操作するため、もう片方の手だけでギターを演奏しなければなりません。

そのため、基本的にはハンマリングとプリングを駆使して演奏することになります。スイッチング奏法を習得するには、まずハンマリングとプリングのテクニックを身につけてからのチャレンジしましょう。

ハンマリングとプリングの練習方法については、下記の記事で詳しく紹介しています。こちらも参考にしてみてください。

ギターのハンマリングオン・プリングオフとは？やり方や練習のコツについても紹介

 

ミュートはしっかり行う

スイッチング奏法は効果音的な演奏ですが、余分な音が鳴ってしまうとミスが目立ってしまいます。

前述のとおり、この奏法はハンマリングとプリングによって演奏するため、ミュートをしないとノイズが発生しやすくなります。

カッコよく弾きこなすためにも、ミュートを駆使しながら演奏することがポイントです。例えば、3弦の音を出すのであれば、別の指で4弦を軽く触れておくなど、隣接する弦を中心にミュートを行いましょう。

 

メトロノームを使って確実なリズムで練習する

スイッチング奏法は規則的かつ断続的な動きが求められるテクニックなので、メトロノームを使った練習が必須です。特にハンマリングとプリングを駆使するため、演奏に慣れていないとリズムが崩れやすくなります。

リズムに自信がない人は、80～100ぐらいの遅めのテンポから挑戦してみましょう。徐々にテンポを上げていくことで、より安定した演奏ができるようになります。

 

スイッチング奏法に関するよくある質問

スイッチング奏法について、よく寄せられる質問の一つに「ストラトキャスタータイプのギターでも弾けるのか？」というものがあります。

前述のとおり、ストラトキャスタータイプのギターは構造上、ピックアップセレクターを使ったスイッチング奏法が演奏できません。

そのため、キルスイッチかエフェクターを用いて演奏する方法を選ぶ必要があります。キルスイッチが最初から付いていない場合でも、後付けすることは可能です。

ただし、配線を加工する必要があるため、不安な方は専門店に相談すると安心です。一方、エフェクターを使う方法であれば、ギター本体を加工する必要がありません。

手軽に演奏してみたい場合は、エフェクターの利用を検討しましょう

 

まとめ

スイッチング奏法は、ギターの演奏に新たな表現を加える魅力的なテクニックです。ピックアップセレクター、キルスイッチ、エフェクターと、様々な方法で実現できるこの奏法は、練習次第で誰でも習得することができます。

基本となるハンマリングとプリングの技術を磨き、適切なミュートを心がけることが上達の鍵となります。また、メトロノームを使った規則的な練習も重要です。

自分のギターに合った方法を選び、少しずつテンポを上げながら練習を重ねていけば、独特な音色を自在に操れるようになるでしょう。

スイッチング奏法を習得することで、ギター演奏の幅がさらに広がります。気になる人は今回紹介した内容を参考にぜひスイッチング奏法に挑戦してみてください。