人工ハーモニクスは、ハーモニクス奏法の一種で、ハーモニクスポイントを右手で触れながらピッキングすることで、任意のフレットでハーモニクスの音が演奏できます。
人工ハーモニクスの魅力は、開放弦に限定されず、さまざまな音程のハーモニクスを鳴らせることがあげられます。さらに、ヴィブラートやチョーキングといった、ナチュラル・ハーモニクスでは難しい表現技法を組み合わせることも可能です。
一方で、人工ハーモニクスは片手で弦に触れた状態でピッキングを行うため、弾きこなすにはそれなりの慣れが必要です。
この記事では、そんな人工ハーモニクスの基本的な練習方法と、上達のためのコツを詳しく紹介します。これから人工ハーモニクスに挑戦したい方はもちろん、すでに取り組んでいる方も参考にしてみてください
この記事のポイント
人工ハーモニクスの練習方法
人工ハーモニクスを弾く際の基本的な手順は以下の通りです。
- 左手でポジションを押さえた状態で、12フレット先の弦を右手の人差し指で軽く触れます。例えば、左手で5フレットを押さえているなら、右手は17フレットになります。
- ピッキングをする際は、右手の人差し指が弦に触れた状態のまま親指で弾きます。
- ここで重要なポイントは、ピッキングと同時に人差し指を離すことです。これにより、クリアなハーモニクス音が得られます。
この練習フレーズでは音程が上下するため、それぞれのポジションでどのように音程が変化するのか、しっかりと確認しながら練習しましょう。
人工ハーモニクスを練習するコツ
人工ハーモニクスの技術を向上させるためには、基本的な練習方法に加えて、いくつかのコツを押さえることが重要です。ここでは、より効果的に人工ハーモニクスを習得するためのポイントを紹介します。
余分な音が鳴らないように左手でミュートする
人工ハーモニクスを演奏する際、右手で弦に触れた状態でピッキングすると、動きが制限されてほかの弦にも触れやすくなります。これにより、意図しない弦の音が鳴ってしまう可能性があります。
この問題を解決するために、練習する際は左手でピッキングしない弦をミュートしておくことをおすすめします。これにより、不要な音が出にくくなり、ハーモニクス音もよりクリアに聞こえるようになります。
弦のミュート方法については、以下のページも参考にしてみてください。
右手の人差し指を伸ばした状態で弦に触れる
人工ハーモニクスは、右手の人差し指で弦に触れた状態でピッキングするため、特に初心者にとっては慣れない動きで難しく感じやすい技術です。
人差し指で弦に触れるのが難しいと感じる場合は、指が曲がった状態になっていることが考えられます。人工ハーモニクスを演奏する際は、右手の人差し指と親指をまっすぐ立てるように心がけましょう。遠くの弦を押さえるときも指が届きやすくなります。
また、ほかの指は軽く握って畳んでおくと演奏の邪魔になりにくくなります。
人差し指や親指の位置を調整する
人工ハーモニクスの音質と音量は、弦を押さえる位置やピッキングの位置に大きく影響されます。そのため、これらの位置を適切に調整することで、ハーモニクスが鳴らしやすくなります。
具体的には、右手の位置を少しずつ移動させ、最もハーモニクスが響くポイントを探してみましょう。各フレットによってハーモニクスポイントが異なるので、さまざまな位置を試してみることも大切です。
リアピックアップで練習する
ハーモニクスの音は、リアピックアップのほうがフロントやセンターピックアップよりも拾いやすい傾向があります。もちろん他のピックアップでも演奏は可能ですが、高音が鳴りにくく音量も出にくくなる傾向があります。
同じ弾き方でもピックアップの選択によって大きくサウンドが異なるため、人工ハーモニクスを練習するときはリアピックアップを使用することをおすすめします。
ほかのハーモニクス奏法も練習する
人工ハーモニクスは左右の手を複雑に使って演奏するので、他のハーモニクス奏法の中でも特に難易度の高いテクニックです。練習のハードルが高いと感じた場合は、最初は基本的なナチュラルハーモニクスなど、他の奏法から練習を始めることも方法です。
基本的なハーモニクス奏法の練習方法については、下記の記事で詳しく解説していますので、こちらも参考にしてみてください。
ギターのピッキングハーモニクスとは?練習方法や上達のためのコツを解説
人工ハーモニクスに関するよくある質問
人工ハーモニクスを練習する中で、多くの人が共通して抱く疑問があります。ここでは、そうした疑問に答えることで、より効果的な練習方法や演奏のコツを提供します。
音が小さい時の対処法は?
人工ハーモニクスは指で弾くため、音量が小さく感じることも珍しくありません。音量を上げたい場合は、以下のような対処法があります。
- ギターやアンプのボリューム設定を見直す
全体的な音量を上げることで、人工ハーモニクスの音も大きくなります。
- リアピックアップを使用する
前述の通り、リアピックアップは倍音を拾いやすいため、他のピックアップよりも大音量で演奏できます。
- エフェクターやアンプの設定を調整する
歪みを強くすると倍音が強調され、音も大きくなります。ただし、過度の歪みはハーモニクスの明瞭さを損なう可能性があるので、適度な調整が必要です。
ベースの人工ハーモニクスのコツは?
ベースの人工ハーモニクスのやり方も基本的にはギターと同じです。ただし、ベースの弦は太く張力が強いため、より強めのタッチが必要になる場合があります。
また、弦を弾く際には、指で弦に触れた後すぐに離すことで、クリアな音が得られます。この記事で紹介した内容を参考に練習してみましょう。ベースならではの低音の豊かさを活かした、魅力的な人工ハーモニクスを演奏することができるでしょう。
まとめ
人工ハーモニクス習得にある程度の練習が求められますが、適切な練習方法とコツを押さえることで、効果的な習得につながります。
これからチャレンジしたい人は、この記事で紹介した練習方法を参考にしてみてください。難しいと感じるなら、まずは基本的なハーモニクス奏法から始めて段階的に難易度を上げる方法もおすすめです。