メタルギターのレジェンドであるランディ・ローズ、MEGADETH在籍時のマーティ・フリードマンが愛用していたJacksonのギター。現在でも多くのメタルギタリストを魅了しています。
攻撃的なルックスが先行されますが、機能性も追求された魅力的なギターばかり。Jacksonの歴史、機能性のこだわり、使用ギタリストなどをご紹介します。
この記事のポイント
Jacksonのギターとは?
世界中のメタルギタリストを魅了したJacksonとはどういったギターなのでしょうか。
Jacksonのギターの特徴、代表モデル、Jacksonを愛用するギタリストをご紹介しましょう。
Jacksonの歴史
Jacksonはグローヴァー・ジャクソンによって1978年に誕生しました。現在まで続くJacksonのブランドの歴史と人気はLAメタルと大きく関係しています。
ギターブランド・Jacksonのその歴史を振り返りましょう。
Jacksonの誕生
Jacksonの誕生は1978年のこと。Charvelでクラフトマンとして働いていたグローヴァー・ジャクソンが、その当時倒産寸前だったCharvelを買い取ったことから歴史は始まります。 創業当初のJacksonはカリフォルニアでリペアショップとして営業を行っていました。そんなJacksonの運命が大きく変化したのは、1979年に開催されたNAMMショーのこと。NAMMショーとは世界最大の楽器ショーで、そこにJacksonが制作したギターが展示されたのです。
NAMMショーをきっかけにJacksonは多くのギタリストに知られることとなりました。NAMM Showについて詳しく知りたい方はWikipediaの楽器ショーのページをご覧ください。
LAメタルとJackson
“LAメタル”は日本独自の呼び方で、アメリカでは“ヘアメタル”や“グラムメタル”と呼ばれています。
Jacksonが誕生した1978年はVAN HALENがデビューし、アメリカのロックシーンが大きく変化した時代。それまで「ハードロック=ブリティッシュ・ハードロック」と考えられていましたが、VAN HALENの登場によってアメリカン・ハードロックが誕生したんです。 そんなアメリカン・ハードロックはロサンゼルスで独自の進化を遂げ、80年代になるとMOTLEY CRUEやRATTなどに代表されるLAメタルとなりました。
ロサンゼルスといえばカリフォルニアが中心地。Jacksonはカリフォルニアで誕生したギターメーカーなので、LAメタルのギタリストがJacksonに興味を持つことは自然な流れだったんです。
LAメタルは西海岸特有のカラッとした明るさ、キャッチーなリフとメロディで、世界中で大ブレイクを果たします。
LAメタルはサウンドだけでなくビジュアル面でもインパクトがありました。
ツンツンに立てた髪型と派手なメイクが特徴で、アメリカではヘアメタルやグラムメタルと呼ばれています。そのため、ビジュアル面にこだわりを持つLAメタルバンドにとってJacksonの特徴的なデザインのギターは最適だったんです。
インディーズ時代のXなんて完全にLAメタルのファッションです。LAメタルはヴィジュアル系のルーツとも言えますね。
Jacksonのパーツへのこだわり
LAメタルのギタリストに支持されたJacksonのギターですが、パーツの各所にこだわりが見られます。
コンパウンド・ラディアスやコンコルドヘッドなど、Jacksonのギターのこだわりを紹介します。
コンパウンド・ラディアス
Jacksonのフィンガーボードは、コンパウンド・ラディアスと呼ばれる加工が施されています。
コンパウンド・ラディアスはローフレットのアールがキツくなっており、ハイフレットに行くにしたがってアールが穏やかになるJacksonのギターの加工技術。低音のリフが弾きやすくなり、ハイフレットはチョーキングがスムーズになります。
裏面も見てみましょう。
メタルギタリストの多くはテクニカルなプレイを好みますが、これはLAメタル時代から変わりません。世界中のメタルギタリストからJacksonが愛されている理由は、このコンパウンド・ラディアスにあります。 現在はFender、Gibson、FUJIGENなどのギターにも、コンパウンド・ラディアスが採用されています。
このフィンガーボード、本当に弾きやすいです!テクニカル系ギタリストに絶対おすすめ!
コンコルドヘッド
Jacksonのギターを象徴するデザインがコンコルドヘッドです。これは超音速旅客機であるコンコルドに似たデザインであることから名付けられました。
Jacksonが考案したコンコルドヘッドの鋭角的なデザインはヘヴィメタルのサウンドを見事に視覚化しています。
さらにJacksonのギターはヘッドにアングル(角度)が付けられており、ダウンチューニングでも十分なテンションをキープすることができます。これはダウンチューニングを多様するヘヴィメタルにおいて効果的なアイデアです。
シャークフィン・インレイ
ジャークフィン・インレイはコンコルドヘッドと同様に、Jacksonを象徴するデザインです。これはサメの背ビレをイメージしたデザインで、いかにもヘヴィメタル的ですよね。でも廉価モデルのJacksonはノーマルなドット・インレイです。僕のJacksonは廉価モデルなのでドット・インレイなんですが…。
Ibanezのギターも似たデザインのインレイですが、シャークトゥース(サメの歯)・インレイと呼びます。
代表的なモデル
メタルギターの定番となっているJacksonですが、そこにはさまざまなモデルがあります。Jacksonの代表的なモデルを解説しましょう。
ディンキー
Jacksonのギターを代表するモデルがディンキー(Dinky)です。 ディンキーはFenderのストラトキャスターのボディをひと回り小さくしたボディが特徴で、取り回しが楽になっています。激しいステージングが求められるヘヴィメタルに適したサイズと言えるでしょう。
ディンキーのボディはディンキーシェイプと呼ばれ、Jackson以外のギターメーカーにも採用されています。
ディンキーのピックアップの構成はHH、HSH、SSHなど、ハムバッカーを搭載。これによって手軽にハイパワーなサウンドが出せます。そのほかにフロイド・ローズ・トレモロ、24フレット、ジャンボフレットなどを搭載し、メタルギターに最適なモデルと言えるでしょう。またスケールはストラトキャスターと同様の25.5インチ(約648ミリ)。
ディンキーのネックジョイントもボルトオンなので、ストラトキャスターに慣れたギタリストであればスムーズに弾きこなせます。
Jackson/ジャクソン エレキギター DK-1
ソロイスト
ソロイストはディンキーとほぼ変わらないスペックですが、明確な違いはネックジョイントにあります。ディンキーがFenderギターと同じくボルトオンですが、ソロイストはスルーネックです。
ソロイストはハイフレットへのアクセスが容易で、その名前が示す通りソロプレイに適しています。
Jackson/ジャクソン エレキギター Soloist
キングV
キングVはフライングVのツノをさらに鋭角にしたデザインで、その攻撃的なビジュアルはインパクト大。ボルトオンとスルーネックの2種類があり、スケールはディンキーと同様に25.5インチです。
ディンキーやソロイストはストラトキャスターを進化させたモデルですが、キングVはGibsonのフライングVを進化させたモデルです。 キングVはLAメタルの最重要バンドであるRATTのギタリスト、ロビン・クロスビーのモデルとして発売されました。ロビン・クロスビーは2メートルを超える長身ですが、その体型に合わせるためにキングVはフライングVよりもひと回り大きいサイズです。
キングVの尖ったツノは簡単にポキポキ折れます!ギタースタンドに立てる際は、必ずツノを床から離すようにしましょう。
ケリー
Gibsonのエクスプローラーを攻撃的にしたデザインのケリー。キングVと同様にボルトオンとスルーネックがあり、スケールは25.5インチです。
JacksonのケリーはMEGADETH在籍時のマーティ・フリードマンが使用していたことで知られています。最近は日本のメロディックデスメタルバンド、GYZEのRyojiが使用していますね。
ケリーのピックアップ構成はHHですが、マーティ・フリードマンのシグネイチャーモデルはリアハム1発という構成。差別化を図るためにこのモデルはKE1と名付けられています。
ランディV
ランディ・ローズのシグネイチャーモデルとして知られるランディV。ランディ・ローズ自身のアイデアをベースにして、グローヴァー・ジャクソンが制作しました。
ランディVは日本オリジナルの呼称で、Jackson Randy RhoadsやRhoadsなどと呼ばれています。
現在のランディVはHHのピックアップ、フロイド・ローズ・トレモロもしくは裏通しとなっています。ジョイントはボルトオンとスルーネックがあり、スケールは25.5インチです。 ランディ・ローズが使用していたプロトタイプは、ボックスインレイ、ストラトキャスターのようなシンクロナイズド・トレモロを搭載。ポルカドットのフライングV(通称サンドヴァルV)と並ぶ一本。ランディ・ローズのトレードマークです。
ちなみに、ランディVはChildren of Bodomのアレキシ・ライホなども使用していました。
Jacksonを愛用するギタリスト
1978年に誕生して以来、多くのギタリストに愛されたJackson。こちらではJacksonを愛用するギタリストをご紹介します。
ランディ・ローズ
そのメロディアスかつエモーショナルなプレイで、現在も多くのギタリストからリスペクトされるランディ・ローズ。ランディ・ローズのアイデアからランディVが誕生し、Jacksonを代表するモデルとなりました。こちらではギタリストとしての魅力をお伝えします。
歴史とプレイの特徴
1956年に生まれたランディ・ローズ。実家が音楽教室だったことで、幼いころからギターレッスンを受けていました。恵まれた環境と才能によって、10代にして実家の教室で講師をしていたそうです。
1978年にQuiet Riotのギタリストとしてプロデビューした後、1979年にオジー・オズボーンのバックバンドに加入しました。オジーの特異なキャラクターとランディの端正なルックス。この対比は強烈なインパクトがありました。
そしてランディの評価を決定づけたのは類稀なるメロディセンスです。実家の音楽教室で受けていたクラシックギターのレッスンが関係しているのでしょう。特にMr. Crowleyのラストで聴かせるギター・ソロの6連は、速さと泣きが同居する珠玉の名ギター・ソロです。
後にオジーのバンドに加入したギタリスト、ジョー・ホームズはランディからギターレッスンを受けていました。
早過ぎる死
オジー・オズボーン・バンドとして2枚のアルバムをリリースし、ランディは世界のトップギタリストとなりました。しかし1982年にツアー先の飛行機墜落事故によって亡くなってしまうのです。25歳という若さでした。オジーは余りの悲しみで、インタビュー中にランディの話題が出ると泣き崩れてしまい、インタビューが中断されるほどだったと言われています。
ランディ自身はヘヴィメタルだけでなく、音楽大学に入学してクラシック・ギタリストへの転向を考えていたそうです。ランディの広い音楽性が伺えるエピソードですね。オジーの1stアルバム『Blizzard of Ozz』には、クラシックギターによる『Dee』という楽曲が収録されています。
ランディ・ローズのファンであるクラシック・ギタリストの木村大は、『Dee』をカバーしています。
マーティ・フリードマン
流暢な日本語を話すことから、バラエティ番組でも活躍するマーティ・フリードマン。MEGADETH在籍時はケリーを使用していました。そんなマーティ・フリードマンはどんなギタリストなのでしょうか。
歴史とプレイの特徴
マーティ・フリードマンといえば演歌からの影響でしょう。ハワイで育ったことから周囲に日系人が多く、演歌を流すラジオ番組も多かったそうです。VIXEN、ALOHA、HAWAII、などのバンドで活動した後、Cacophonyでプロデビューを飾ります。
Wikipediaに書かれていませんが、マーティ・フリードマンはALOHAというバンドでも活動していました。個人的にはCacophonyが激オシです!
そして1990年にMEGADETHに加入。マーティ加入後初のアルバム『Rust in Peace』はMEGADETHのみならず、ヘヴィメタル史に残る名盤として知られています。中でも『Tornado Of Souls』はギター・ソロに演歌のメロディとコブシを大々的に導入し、そのオリエンタルなサウンドで世界を熱狂させました。
マーティ脱退後に何人ものギタリストがMEGADETHに加入し、『Tornado Of Souls』をプレイしましたがニュアンスが全く違うんですよね。
MF-1
MEGADETH在籍時はJacksonのケリーをカスタムしたKE1を使用していました(稀にランディVを使うことも)。現在のシグネイチャーモデルはMF-1です。
メガデス脱退後はIbanezやPRSとエンドースしていましたが、現在は再びJacksonからシグネイチャーモデルMF-1をリリースしています。 Gibsonのレス・ポールを少し鋭角的にしたようなデザインです。フィンガーボードのアールが12インチ、スケールは24.75インチなので、レス・ポールと同じスペックを採用しています。
Jacksonのギター買取価格
Jacksonのギターモデル |
買取価格の事例 |
Jackson DK-1 |
38,500円 |
Jackson Soloist |
27,500円 |
Grover Jackson V |
25,000円 |
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Jacksonは独特なシェイプが多く、メタル専門のマニア向けギターブランドです。もし買取価格にご不満があるなら楽器の買取屋さんへの問い合わせをおすすめします。
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